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 青色帽子の妖精が住む丘のすぐ近くに、赤いレンガ造りの洋館が建っていました。この洋館にはもうずいぶんと長い間人が住んでいませんでした。
 ところがある冬の寒い朝のこと。一人のお婆さんがこの洋館こ引っ越してきたのです。
 このことを青色帽子の妖精から聞いた友人の妖精たちは、お婆さんがどんな人なのかとても興味を抱きました。そこで皆で一緒におばあさんの暮らしぶりを見に行こうということになりました。この丘には古い洋館が一軒建っているだけで、付近に人は住んでいません。妖精たちは草の生い茂った洋館の前庭を1列になってつっきり、洋館正面のウッドデッキの下に駈けこむと、そこからさらに家の床下へともぐりこみました。
館の建物はかなり古く、家の柱や壁のあちこちにはねずみがかじって開けた穴があり、小さな妖精が入り込むのは容易いことでした。

オレンジ帽子の妖精
「あれが引っ越してきたお婆さんだね。思っていたよりずっとお年寄りみたいだけど、こんな人の住んでいない場所に一人で暮らして不安じゃないのかな?」

青色帽子の妖精
「うん・・・。確かにちょっと心配になるね。引っ越してきてからもう2週間くらい経つけど、まだ誰も訪ねて来てはいないみたいだし」

オレンジ帽子の妖精
「そうなの?それは寂しいよね。近くに知り合いの人がいないのだとしたら、新しい友達が必要だよ」

緑色帽子の妖精
「でも人は僕ら妖精と違って、そうそう誰とでもは友達になれないみたいだよ。それに仲良くなるにも、時間がかかるみたいだからね」

青色帽子の妖精
「ねえ、お婆さんが手紙を持っているよ」
郵便受けを見にいっていたお婆さんが、一通の手紙を持って居間に戻って来ました。
お婆さんは肘掛椅子に深々と腰をおろすと、震える手で封を切り手紙を読み始めました。

オレンジ帽子の妖精
「友達からの手紙かも知れないね」

緑色帽子の妖精
「なんだか・・・嬉しそうな顔だね」
 妖精たちが、いっせいに手紙を読むお婆さんの横顔をじっと見つめます。

青色帽子の妖精
「きっと好い知らせなんだよ。どうやら心配する必要はなさそうだね」
 やがて妖精たちは、にっこりとして顔を見合わせました。
 台所の方からなにやら美味しそうなごちそうの匂いがしてきます。お婆さんが鼻歌まじりにお料理をしているのです。

緑色帽子の妖精
「また、遊びに来てみよう。もしかしたらお婆さんの大切な友達の顔も見られるかも知れないよ」
 緑色帽子の妖精がそう言うと、皆うなずいてそっと部屋の外へと出て行ったのでした。


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穏やかな日差しが射しこむ古い松の木のほこらに、青色帽子の妖精の家がありました。
この松の木は、海を一望できる小高い丘の上に立っていました。ですからほこらからの眺めは抜群で、青色帽子の妖精はそこが気に入って、ここに家をこしらえたのでした。彼の自慢は木の幹をくり抜いて作った4つの丸い小窓。1日の始め、朝起きてこの窓からの素晴らしい景色を眺めるたび、彼はいつもとても幸せな気持ちになるのでした。
そんな見晴らしの良い青色帽子の妖精の家を訪ねて、ある日緑色帽子の妖精が訪ねて来ました。

緑色帽子の妖精
「好いお天気だね!青色帽子くん。今日はオレンジ帽子くんは来ているかい?」
青色帽子の妖精
「ううん、来てないよ。オレンジ帽子くんなら確か、5番町通りまで出かけるって言っていたように思うけど」
緑色帽子の妖精
「そうか・・・。青色帽子君は、今日は出かけないの?」
青色帽子の妖精
「ああ、僕は・・・、ちょっと済ませておきたい用事があってね」
 青色帽子の妖精はそう言って、書斎の机に腰かけ熱心に何かを書き始めました
緑色帽子の妖精
「誰かに、手紙を書いているの?」
青色帽子の妖精
「うん。昨日、古い友人から手紙が届いてね。今、その返事を書いているんだ」
緑色帽子の妖精
「へえ、そうなんだ。こんな時、人間たちなら携帯のメールで済ませてしまうんだろうね」
青色帽子の妖精
「そうだね・・・。携帯メールなら返事が早くて便利だろうけど、ぼくらには必要ないね。急いでいる訳じゃないし、それにメールのやりとりがトラブルの原因になることもあるみたいだからね」
緑色帽子の妖精
「以前人間たちが手紙でやりとりしていた頃は、もっとゆったりとした付き合いをしていたような気がするね。でも今は、なんだかとても忙しない感じがする・・・」
青色帽子の妖精
「ぼくら妖精は、ゆったりと時間を過ごすことをとても大切にする。だから携帯メールは必要ないね。相手と連絡が取れるまでは、別な事をして時間を過ごすし、ときおり思い出しながら待つのを、楽しみにさえ思う」
緑色帽子の妖精
「今の人間たちは、メールを送った相手からすぐに返事が来ないと、苛々して腹をたてるらしいね」
青色帽子の妖精
「それはいけないね・・・」
緑色帽子の妖精
「どうやら人間たちは、時を楽しむことができなくなってしまったようだね」
青色帽子の妖精
「人間の世界では、何事も飛ぶように過ぎていくんだ。<時間に追われる>って言葉を彼らはよく使っているね」
緑色帽子の妖精
「でも時間をかけるってことも、とても大切なことなのにね。森の木々は長い年月を生きることによって、より成長し周囲のさまざまな生き物の命をも育む。秋には葉を落とし、大地から姿を消してしまう小さな草花だってそうだよ。年を経るごとに地にしっかりと伸びていく根のおかげで、春を迎え芽吹いた葉や茎がより大きな株となり、たくさんの花を咲かせるんだ。人と人との関係もそうなんじゃないかな?お互いの絆をより深めるためには、時間が必要な気がするよ」
青色帽子の妖精
「時の過ごし方について、人間たちにもっと違う考え方も持って欲しいね」
緑色帽子の妖精
「豊かな時の過ごし方が、豊かな人生にも結びつく。そのことに早く気づいて欲しいよね・・・」


 秋から冬へと季節が廻り、妖精たちにとって1年で最も忙しい時期が到来しました。
 冬が来る前のこの時期。果実を好んで食する妖精たちは、冬の間の食糧も貯えておくため、毎日野山を駆け回ります。けれどもようやく果実の収穫を終えたと思う頃には、今度は「ハロウィン」という1年で最も大きなお祭りが待っているのです。そのため妖精たちは、忙しい合間をぬってたびたびハロウィン集会にも出席しなくてはなりません。
 ですから普段はのんびりと日々を過ごしている妖精たちも、この時ばかりは、皆目の回るほどの忙しさになるのでした。
 そんなある日の午後のことです。冷たい北風が吹き抜ける山裾の林の中で、偶然行き会ったオレンジ帽子の妖精と白帽子の妖精が立ち話を始めました。

オレンジ帽子の妖精
 「こんにちは、白帽子さん。今年の収穫の方はどう?もう冬用の食糧は集まったかい?」

 白帽子の妖精
「こんにちは、オレンジ帽子さん。それが、ついこの間まで風邪をこじらせて長く寝込んでいたものだから、まだ十分な量が集まっていないの・・・。もうじきハロウィンだというのに、このままだと皆さんのお手伝いができなくなるんじゃないかと心配してるところなのよ」

オレンジ帽子の妖精
「それは困ったね・・・。僕もまだあまり集まってはいないんだけど。だったら、青帽子さんや緑帽子さんたちにも声をかけて、皆で協力して食糧集めをしたらどうだろう?」

 白帽子の妖精
「本当に!そうしてもらえたら、とても助かるわ。でも皆忙しく出歩いているから、見つけるのは大変そうね・・・」

オレンジ帽子の妖精
「それがね。ちょうど明日ハロウィンの集会で集まることになっているんだよ。だから、白帽子さんも一緒にその集会に出席したらいいよ」

 白帽子の妖精
「まあ、それは良かったわ!ええ、もちろん出席します。ではまた明日、ごきげんよう・・・」

 白帽子の妖精は嬉しそうにそう言ってオレンジ帽子の妖精にお辞儀をすると、忙しげな足取りで林の奥へと去って行きました。
 さて、その翌日。ハロウィンの集会に集まってきた妖精たちの中に、仲の良い青帽子、緑帽子の姿を見つけたオレンジ帽子の妖精は急ぎ足で二人に近寄り声をかけました。

オレンジ帽子の妖精
「やあ、青帽子くんに緑帽子くん!」

青帽子の妖精
「やあ!元気かい?オレンジ帽子くん」

緑帽子の妖精
「久しぶりだね。オレンジ帽子くん」

オレンジ帽子の妖精
「こう忙しいとなかなか会えないね、二人とも。ところで、今日は二人に相談があるんだけどーー」

青色帽子の妖精
「相談って、何だい?」

 そこでオレンジ帽子の妖精は、二人に白帽子の妖精の話をしました。

緑帽子の妖精
「じゃあ今日、白帽子さんもここに来るんだね?」

青帽子の妖精
「おや!あれは白帽子さんじゃない?」

 その声に二人が振り返ると、ちょうど白帽子の妖精もこちらに気づいて片手を挙げ、合図を送りました。
 
 白帽子の妖精
「ごきげんよう!皆さん」

緑帽子の妖精
「長く風邪をひいて休んでいたんだってね。大変だったね・・・。冬用の食糧集めは僕らも手伝うから、安心して!」

 白帽子の妖精
「ありがとう!緑帽子さん。そう言って下さると本当に嬉しいわ」

青帽子の妖精
「ところで、白帽子さん。きみたちの組は、今年のハロウィンにはどんな準備をすることになっているの?僕らの組は”開かずの門”の見張り役をすることになっているんだけど」

 白帽子の妖精
「わたしたちの組はいつも、精霊たちをお迎えするための食卓づくりをすることになっているのよ」

青帽子の妖精
「へえ・・・。白帽子さんの帽子からは、精霊たちが食べる特別な食物が出て来るっていう話を聞いたことがあるけど、あれは本当だったんだね」

 白帽子の妖精
「ええ、そうよ。精霊たちはわたしたちが食べるものは召し上がらないの。だから、わたしたちが互いの白帽子をもちよってご馳走を準備するのよ」

オレンジ帽子の妖精
「心の清らかな白帽子さんたちにしかできないことだね・・・。ハロウィンには魔物もたくさん現れるけれど、貴い精霊たちもたくさん”開かずの門”をくぐって来られるからね」

青帽子の妖精
「そういえば人間たちもハロウィンの準備をしているようだね」

白帽子の妖精
「そうね。でも彼らは、精霊たちが何をしにこちらへやって来るかは知らないみたい」

緑帽子の妖精
「確かに知らないみたいだね。知っていたら自然を破壊したりはしないものーー」

青帽子の妖精
「確かに人間は無知なところがあるね。でも、最近は少しずつ自然を大切にしようという気持ちを持ち始めたみたいだよ」

 白帽子の妖精
「わたしもそう思うわ。ハロウィンに訪れる精霊たちが、どうぞ人間たちの盲目になった心を開いてくださいますように!」

 それから妖精たちは、口々にハロウィンの思い出話に花を咲かせました。そしてそれは、集会が始まる直前までいつまでも続いたのです・・・。

妖精の帽子には不思議な力がある。
皆さんは、そんは古い伝承があることを御存じですか?
私たちの住む世界のどこかに、暮らしているといわれる妖精たち。
けれど私たちは、彼らの暮らしぶりを知ることはなかなかできません。何故って彼らは姿を隠すのがとても上手で、容易に見つけることができないから。
けれども夜遅く、私たちが寝静まるのを待って、妖精たちはそろって姿を現します。
そして夜通し、夢中になっておしゃべりを始めるのです。
彼らに気付かれぬよう、夜こっそり眠ったふりをしてみませんか?
そうすれば、妖精たちの内緒話が聞こえてくるに違いありません。


青帽子の妖精
「ねぇ、知ってる?明日の晩、向こうの世界から神様たちが訪ねて来られるそうだよ」

オレンジ帽子の妖精
「えっ!何をしに来られるの?」

白帽子の妖精
「私知ってるわ。何年かに一度、神様たちは人間のふるまいを見定めるために、こちらの世界へ来られるのですって」

オレンジ帽子の妖精
「そうなんだ・・・。じゃあ、もし悪いことをしている人間たちをご覧になったら、きっととてもお怒りになるだろうね。ちょっと心配だな」

青帽子の妖精
「オレンジ帽子くんは、悪い人間を見かけたの?」

オレンジ帽子の妖精
「うん、僕はときどき学校に出かけるからね。他人に嘘をついたり、意地悪をする人間たちをたくさん見かけるよ」

白帽子の妖精
「でも・・・、それだけで神様がお怒りになるかしら?」

青帽子の妖精
「僕、テレビのニュースでいじめられて自殺した子供たちのことを見たよ・・・。相手が死にたくなるまでいじめるのってひどいよね。神様もお許しにはならないんじゃないかな」

白帽子の妖精
「そうかも知れないわね・・・」

オレンジ帽子の妖精
「でも人間たちはとても賢いから、神様たちがこちらにお出でになることを知っていて、お宮に大勢集まって、神様をお喜ばせしようとしているみたいだよ」

白帽子の妖精
「ああ、それなら私もテレビで見たわ。ほんとにたくさんの人間たちが神様にお参りしている様子が映っていたわ」

青帽子の妖精
「神様の怒りが静められるかしら・・・」

白帽子の妖精
「神様は公平な方だから、良い行いをしている人間たちをご覧になったら、お気持ちを静められると思うわ。とても寛大な方々ですもの」

青帽子の妖精
「白帽子さんは、神様が怖くはないの?」

白帽子の妖精
「ええ、ちっとも。だってとても優しい方々ですもの」

オレンジ帽子の妖精
「白帽子さんは正しいと僕も思うよ。でも人間たちは、もう少し成長しなくてはいけないね。神様をみならって、もっと優しい心をもたなければ」

青帽子の妖精
「そのとおりだね。神様にお参りするだけじゃなくて、自分の仲間たちのことも大切にしなくちゃね」

妖精 イラスト2

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