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「あら、どうしたの?」

翼はそう言って、道端にしゃがみこみました。
小さな真っ白な仔犬。迷子のようです。

「迷子になっちゃったの・・・」

仔犬は、今にも泣き出しそうな顔をしています。

「大丈夫。私がパパとママのところに連れて行ってあげるわ!」

翼はそう言って、仔犬を励ましました。
でもなぜか仔犬は悲しそうな表情のまま、道端にうずくまってしまいました。

奇妙に思い翼がたずねます。

「どうしたの?元気を出して、おうちの近くにどんなものがあったか思い出してみて。私がそこに連れて行ってあげるから。」

すると仔犬は寂しそうに首を振りました。

「パパもママもあたちが嫌いになっちゃったの・・・。だからあたちをここに置いていなくなっちゃったの」

仔犬はそう言って、大粒の涙をいくつもこぼしました。

翼は慌てて言いました。

「そんなことない!きっと今頃、ちびちゃんのことを心配して探していると思うわ。」

しょんぼりとした仔犬の姿に、翼の胸がしめつけられます。

(本当に、捨てられたのでなければ良いけど・・・)

翼の胸に不安がよぎりました。

そこへ一人の女の子が通りかかりました。
小学二年生ぐらいで赤いランドセルを背負っています。

「わあ!仔犬だ、可愛い~!」

女の子はそう言って、仔犬の頭を撫でようとしました。
でも仔犬は、突然頭の上に手が伸びて来たので怖くなり、唸り声をあげました。
女の子は驚いて手をひっこめます。

「可愛くなんかな~い!」

女の子は口をとがらせそう言うと、小走りに角の道を曲がり行ってしまいました。

仔犬はいよいよ悲しそうな声でクンクンと鳴き始めました。
女の子の言った言葉は分からなくても、何かひどい事を言われたというのは分かったのです。
翼はその様子を見て、ますます仔犬が不憫に思えてきました。

(もしかしたら、ちびちゃんは誰かに吠えたり、怖くて噛みついたりしてしまったのかも知れない・・・)

犬を良く理解していない人は、犬が怖くて吠えたり噛んだりするのだということを知りません。
ちびちゃんのパパやママがそれを知らない人だったら・・・、危険な犬だと判断して捨てようとするかも知れない。
でも、そんな悲しいことをちびちゃんに話したりはできません。

「ちびちゃん。パパとママは違う場所を探しているかも知れないから、一緒にわたしのうちへ行きましょう。そうして、ちびちゃんはここにいますってお知らせの張り紙をするの。そうすれば、パパとママがそれを見て、きっと迎えに来てくれるから」

翼がそう言うと、仔犬はようやく泣き止み、翼の足下にすり寄りました。

翼は仔犬を抱き上げ、ほおずりしました。

(神様、どうかこの仔犬のパパとママが、迎えに来てくれますように・・・)

決して、この子を捨てたのではありませんように・・・
翼は心から祈りました。
仔犬の小さな心が、壊れてしまわぬようにーー

そうして、翼が帰ろうとした時でした。
さっきの赤いランドセルの女の子が、角を曲がってこちらにやって来るのが見えました。大人の男女二人と一緒です。
女の子は翼を指差しながら、二人を見上げて何か話をしています。
すると、女の人の方がこちらへ向かって駆けだして来ました。

「ちびちゃん!」

その声を聞いて、仔犬は大きな声で叫びました。

「ママ!ママ~!」

仔犬は何度も何度も声を張り上げ叫びました。

女の人は翼たちのすぐ目の前まで来ると立ち止まり、じっと仔犬を見つめて言いました。

「ちびちゃん、ごめんね。ごめんね・・・」

女の人はそう言って涙を流しました。

そこへもう一人の男の人も近づいて来ました。

仔犬が叫びます。

「パパ!」

二人は仔犬のパパとママでした。

翼はほっと胸を撫で下ろします。

「良かったね、ちびちゃん」

すると仔犬は嬉しそうに言いました。

「パパ、ママ、大好き!」

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「太陽の神アポロは、愛する息子を焼死させてしまったのでしょう? どうしてもっと気をつけてあげられなかったのかしらね」

 翼はそう言って、田んぼのあぜ道に祀られているお地蔵さまにお団子をお供えした。

「そりゃあ、太陽神が子供というものを知らなかったのさ。子供は、はいって言ったって、本当にいいつけを守るとは限らない。まあ、考えが甘かったんだね」

 お地蔵さまはそう言って、にっこりしながらお団子を口にほおばった。

「お地蔵さまって、西洋の神様のことも知っているのね!」

「神様つながりっていうやつだよ」

 当然といった口ぶりで、二個目のお団子をほおばるお地蔵さま。

「ねえ、じゃあ月の女神アルテミスのことも知っているの? 」

「そりゃあ、もちろん!あんな美人のか・・・・」

 そう言いかけたお地蔵さま。
 じっとこちらを凝視している翼に気づき、ほのかに頬を赤らめる。

「神様といえど、やはり美しい女性には弱いものなのよ・・・」

「ふ~ん。人間とたいして変わらないね、神様も」

 がっかりした口調の翼に、お地蔵さまが衝撃の一言。

「当たり前だよ。神様も、もとは人間だったのだから」

「え?! じゃあ・・・・、もしかしたら、わたしも月の女神みたいになれるっていうこと! 」

「う~ん。ちなみに容姿はそのままだから、アルテミス神みたいっていうのは無理かな」

「あのさ、お地蔵さまも神様だよね・・・・」
 
 緊張のあまり、唾をのみこむ翼。

「もとの姿ってどんなだったの?」

「あんまり今と変わらんよ」

 そう言って、にんまりするお地蔵さま。

「やっぱりね・・・」

 翼は肩を落とし、うなだれた。

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