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ユノーは、大きな樫の木の根元にある彼のねぐらから頭を出し、用心深く外敵に注意しながら周囲を見回した。じき太陽も真上に射しかかる。いくらのんびり屋の友人とはいえ、もうそろそろ姿を見せてもよさそうな刻限だ。ユノーは舌打ちした。
(レグルスがやって来る前に、我が家に到着してくれるといいがー)
 ユノーは気がかりな様子で、ファンタジーガーデンの方を振り返った。
 ユノーの友人はとても風変わりな生き物で、初めて目にした者は決まって腰を抜かしてしまう。決して相手を襲うような凶暴さなど微塵も持ち合わせない、いたって温厚な生き物なのだが、その見た目の恐ろしさから、そういう反応を取られてしまうのだ。
 ユノーはせっかく友人として紹介しようと招いたレグルスを、むやみに驚かせたくはないと思っていた。しかし明け方には到着する予定だったものが、もう昼間近になってしまった。ユノーはしだいに気を揉みはじめた。友人がユノーのもとを訪れるのは随分と久しぶりのことであった。もしかしたら、道に迷ってしまったのかも知れない。そんな不安が彼の脳裏を掠める。
 折もおり、ユノーはたまたま近くの木の梢に飛んできてさえずり始めた赤い小鳥を見つけ声をかけた。レグルスがここに到着する前に、彼に湖のほとりにある姉妹岩へと向かうよう伝言を頼もうと考えたのである。
 小鳥はよくこの辺りを飛び回っていたので、ユノーとは以前から顔見知りであった。彼はユノーが事情を話すと、愛想良く二つ返事で承知した。
「君が行ってくれると、とても助かるよ!客人が遅れているので、わたしは様子を見に行こうと思うんだ。レグルスには、くれぐれも姉妹岩で待っているようにと伝えておくれ」
 ユノーは、この森では一目置かれるもぐらであった。大層な高齢らしかったが(実際の年齢を知っている者はなく、本人も決して明かそうとはしなかった・・・)、非常に賢くかつ勇敢で、かつて森で大火が起きた時、いち早く森の動物たちにそれと知らせ、自分は炎を恐れることなく走り回って、逃げ惑う獣たちを安全な場所へと導き避難させたという英雄伝の持ち主でもあった。
 小鳥は高らかな声で歌いつつ空へとはばたくと、ユノーの頼みに応じるため、ファンタジーガーデンの方へと向かって飛んで行った。
 やれやれ、と胸を撫で下ろし、ユノーは赤い小鳥の飛んで行った方向とは反対の道へと歩き始めた。


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 真子はいつも不思議に思う。
(どうしてママは、いつもお寝坊なんだろう?)
 真子は大抵、パパが起き出す朝6時少し前にはもうとっくに目が覚めていて、(早く起きてくれないかなぁ・・・)とひたすら辛抱強く待っている。たとえ前日の夜や深夜に、ママが思いつきで布団から抜け出しパソコンに向かうようなことがあっても、(そんなときは、無論真子も目を覚ましてしばらく様子をうかがうのだが)朝寝坊するようなことは決してない。
 でもママは違う。
目覚まし時計が鳴り響き、溜息まじりにパパが会社に行く準備を始めても、ママはベッドの中で目を閉じたまま微動だにしない。でも真子は知っている。本当はママも、実は目が覚めているのだ。だってパパがトイレに行くと決まって、ママはそれを待っていたかのように寝返りを打つのだから。でもだからといって、真子がママを起こそうとママの顔や目を舐めようものなら、たちまち不機嫌そうな唸り声をあげて顔をそむけ、手で真子を振り払おうとする。
真子が「ママ~・・・」と悲しげな声を上げてみても、いっこうにお構いなし。まるで起きる気配はない。たまたま真子の声を聞きつけたパパが近寄ってきて、よしよしと頭を撫でてくれるのが関の山である。
(ママったら、パパが出かけるのにお見送りもしないのかしら?)といつも真子はパパを気の毒に思う。だから真子は、パパが出かける時は思いっきり尻尾を振り、元気な声で「いってらっしゃい!」と挨拶するようにしている。
 でもそんなママも、ときどき朝7時過ぎくらいに起き出すことがある。
「あ~あ、ごみ出ししなくっちゃ。朝8時までに出さなきゃならないなんて早すぎよねぇ~」なんて言いながら、しぶしぶ部屋のゴミを半透明な袋に集め始めるのだ。パパとママとの間には、ゴミ出しについての暗黙のルールがあって、生ゴミを含むゴミについては、パパは出さないことにしているらしかった。だから、生ゴミが溜まってくると、ママは決まった時間までに、ゴミ置き場までゴミを出しに行かなければならない。この日ばかりはお寝坊する訳にはいかないのだ。
 するとパパも真子も、その日は朝からなんだか気分が良い。自分で焼いたトーストをほおばりながら、お決まりの朝のテレビ番組を視るパパの横顔も、心なしか明るい表情になる。だから真子はタイミングを見計らって、食事のおこぼれを貰おうとパパにすり寄って行く。するとパパは、いつもよりちょっと多めに真子にパンを分けてくれるのだ。たちまち真子は、とってもハッピーな気持ちになる。そして、ついこんな事を考えたりもする。
「今日は、ママがお散歩に連れて行ってくれるかも!!」
 実際は朝早く起きたからといって、ママが散歩に連れて行ってくれるとは限らない。でも、そんな淡い期待が真子の胸に膨らんでしまうのだ。
 のっそりとベッドに腰かけながら、クローゼットから取り出した服に袖をとおすママを見上げながら、真子は尻尾を振りふり、お座りの姿勢をとって背筋を伸ばした。
「真子ちゃん・・・なんでお座りしてるの?」
 ふと足元でお座りしている真子の様子に気付き、ママが怪訝そうに言うと、パパは決まって振り返り、真子を見下ろしにっこりとする。パパには真子の気持ちが分かっているのだ。
 やがてママがゴミ袋を集め始める頃、パパも出かける時間になる。
「行ってくるよ!」
普段はしない朝の挨拶を、この時ばかりはパパもママにする。
するとママも、普段はしない挨拶を間延びした声でパパに返す。
「いってらっしゃ~い」
 そして真子も、いつもにまして大きな声でパパを送り出す。
「ワン!ワン!」
 けれどパパは、そんな真子を見つめながら心の中でこうつぶやくのだ。
(真子ちゃん・・・。ママがゴミ出しした後、また寝てしまわないといいね)
 
                                                imageCAZDNPHF チューリップ


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 振り返ってみると、今月はずいぶんとレンタルビデオ屋に足を運び、映画を観賞した月でした。
 その中でも、邦画で印象に残ったのは、「桐島、部活やめるってよ」かな?
 構成がとてもしっかりした作品で、いったん見始めると先が気になり、最後まで目が離せなくなるっーてところが秀逸。内容も、誰もが共感しうる登場人物の心情を、巧みに描いていると感じました。
 まあ、感動するかどうかは、人によって見解は異なりそうだけど・・・。
 一方、洋画で気に入ったのは「ホビット 思いがけない冒険」。これはまあ、ファンタジー派の私としては当然でしょうか^^ 冒険ものは、やっぱりわくわくしますw
 単純に面白いって思えるし、ありきたりのようでも、旅の仲間たちが助け合うシーンには、やはり感動してしまうのです!
 みなさんは、最近どんな映画を観ましたか?
 映画って良いですよね~。しばらくぶりに映画館にも行きたいなあ。
 大画面で見る名作には、自宅のテレビではなかなか味わえない感動がありますからね d(^_^o)

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