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「やあ、ラルフ。そんなところで何をしてるの?」
 レグルスは、普段人前では滅多に姿を見せることのない天使が(ファンタジーガーデンの中では別だが)、こんな所で自分に話しかけてきたのを奇妙に思い訊ねた。 
「うん。君のことが、ちょっと心配になったものだからね・・・」
 意味ありげな視線を投げかけつつそう言って、ラルフは木の枝の上から飛び降り、レグルスに歩み寄った。
 しかし先を急ぐレグルスは、忙しない口調で吠え立てた。
「悪いけど僕、急いでいるんだ。これからユノーのところに行く約束なんだよ!」
 するとラルフは眉間にしわを寄せ、憮然として言った。
「知ってるよー」
 まるで行く手を阻むかのように威圧してくる天使に、レグルスは逡巡として首をうなだれた。
 気は急くが、天使が自分を引き留めようとする理由が分からない状況では説得のしようもない。それに、いたずら者とはいえ、仮にもラルフは天使。むやみに誰かの邪魔立てをするわけはないし、姿を見せてまで自分を引き留めようとするのには、それ相応の事情があってのことに違いない。
(どうしよう・・・)
 レグルスが悩んでいると、ラルフが言った。
「ユノーの友人のことで、きみに忠告しておきたいことがあるんだ。それは・・・」
 ラルフがそう言いかけた時であった。
 ふいに彼らの頭上で甲高い鳥のさえずる声がして、天使の声を遮った。レグルスが振り仰ぐと、一羽の赤い鳥がこちらに向かい、急降下で降りてくる。それは、さきほどユノーに伝言を頼まれたあの鳥であった。
「確か・・・君がレグルスだよね?」
 赤い鳥がそう言って舞い降りて来た時、気が付くといつの間にか、ラルフの姿はその場からかき消えていた。おそらく自分の姿を見られることを嫌ったのであろう。レグルスは内心ほっとして、自分に話しかけてきた相手に向き直った。
「ユノーから君に、伝言を頼まれて来たよ」
赤い鳥は、甲高い鳴き声からは想像がつかないほど穏やかな優しい目でレグルスを見つめて言った。
(何て綺麗な鳥なんだろう!)
 心の中でそう叫び、レグルスは目の前の小鳥に見惚れた。
 遠目からは鮮やかな赤い羽ばかりが目を引いていたが、こうして間近で見ると、羽の先が青や緑、白、黄色といった五色の色合いに縁取られていることが分かる。レグルスは初対面であるにもかかわらず、ついしげしげと小鳥に見入ってしまった。
「ユノーは、まだ到着していない友人を迎えに行くと言って出かけてしまったよ。それで君には、湖の畔にある姉妹岩の前で待っていて欲しいんだそうだー」


 少し離れた木立の陰から、赤い鳥と楽しげに会話をかわしているレグルスの姿を見つめながら、ラルフはいまいましそうにつぶやいた。
「もう少しだったのに・・・。それにしても、ユノーのやつ何を考えているのやら!やはり放ってはおけないな。後をついて行くことにしよう」



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