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来月の中旬、わんちゃん旅行に行こうと現在計画中です。
実は北海道が第一希望なのですが、わんちゃんを飛行機に乗せても大丈夫かやや心配で・・・。
ちょっと調べたら、夏場の飛行機に乗せて亡くなったわんちゃん(ちわわ)がいたとかで、9月いっぱいは飛行機には乗せられないのだとか。行く時期は10月の予定とはいえ・・・どうしよう?と悩んでいます。
わたしは宮崎出身で、これまで北の方面に旅行する機会がなかったので是非行ってはみたいのですがーー

さて話は変わりますが、これから不定期で日記風の小説を書いてみたいと思っています。日記の形式は取りますが、もちろん完全なるフィクションです。その都度、登場人物を思いつくまま設定し、回によっては主人公の登場しない話なども書こうと思っています。原則的に1話で読み流していただける作品にするつもりですので、気軽に読んでいただけたら幸いです。
ーータイトルは「執筆の合間に」。
主人公が作家という設定で、彼が出会ったさまざまな人々との出来事を日記につづっていくという物語です。
またこの作品では皆様からのお題を募集したいと思っております。
登場人物の設定や、描かれる舞台など自由にご応募下さい。
楽しみにお待ちしております^^

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 午後4時過ぎ。待ち合わせの時間より早く駅に到着したため、バスロータリーの向かい側にあるファーストフード店に入る。
 僕はあまりファーストフード店は好きではない。ただ、今の時期に販売されるシェイクは結構気に入っていて、短時間の時間つぶしにはちょうど良いだろうと入ることにした。
意外にも店内は、この時間にしては混雑していた。暑さしのぎの客の入りもあるのだろう。シェイクを乗せたトレーを片手にひととおり店内を歩いて空いている席を探すが、気に入った場所は見当たらなかった。やむなく、1階の窓際にある席を選んで腰掛けることにした。気おくれするほど隣席との間隔が狭く、体を横にしてすり抜けようとしたがやはり隣のテーブルに足がぶつかってしまった。厳しい視線を背中に感じ、焦って胸ポケットの携帯電話を取り出しメールをチェックしている風を装う。隣の席に座っていた70代半ばぐらいの老婦人たちは、少し間をおいて再び会話しはじめた。
聞くとはなしに、二人の会話が耳に入る。
「前の離婚も浮気が原因だったっていうのに、また浮気してバツ2になるなんてねぇ・・・。そりゃあ、本音を言えば女房がいても他の女性を好きになることはあるでしょうけど、そこを自制するのが常識ある大人の取るべき行動じゃない?」
 そう言ってずれ落ちそうになる眼鏡を指でつまみ上げながら、斜め向かいに座っている婦人が溜息をついた。
 なんとなく居たたまれぬ気持ちになる。それでなくても人が密集している店内は、隣人の肌の熱気さえ伝わってくるようなむし暑さがこもっていてあまり居心地がよくない。無論冷房は入っているのだが、さっきまで炎天下を歩き回って汗だくになっている体を瞬間冷房してくれるほどの冷風ではない。
 僕は鞄の中に扇子が入れてあったのを思い出し、すぐさま取り出して勢いよくあおぎ始めた。一瞬隣席の二人にちらっと横目で睨まれたが、素知らぬ顔でやり過ごす。
「山本さんのお坊ちゃんは、結婚して何年?」
 ややあって僕の横に座っている婦人が、向かい席の眼鏡の婦人に話しかけた。
「息子が今年51だから、かれこれ20年ぐらいになるわね」
 無表情にそう答えて、ふいに彼女は話題をそらした。
「ーーわたしね。今の主人と結婚する前、好きな人がいたの」
 

 
祝 東京2020オリンピック開催決定!!

 夜中、突然何かの物音を聞いて真子は目を覚ました。
暗闇の中ゆっくりとうごめく黒い影・・・。どきりとして目を凝らすと、それはパジャマ姿のパパが、ママと真子のベッドに近寄って来ようとしているのだと分かった。
 真子は素早くママの足元に回り、近づいて来るパパに向かって大声でぼやいた。
「パパ~、こんな時間にどうしたの?びっくりするじゃない!」
 そこへ真子の声を聞きつけたママが、眠い目をこすりながらもベッドに身を起こして言った。
「・・・そろそろ時間?」
 ママがそう言うのを聞いて、真子はきょとんとした顔になる。こんな夜中に、ママたちには何か用事があるのかしら?真子が二人の様子を眺めていると、パパは寝室の照明とキャビネットの上に置かれた小型テレビのスイッチをつけ、起きて来たママと一緒に、テレビの向かいに置かれたラブソファに並んで腰かけた。
 テレビの画面に、長テーブルを囲んで和やかに談笑する人たちの映像が映し出される。人の言葉が少ししか理解できない真子は、すぐにママの膝の上にとび乗り、甘えるように尋ねた。
「ママ~、こんな夜中に何のテレビを見てるの?」
 するとママは口元にひとさし指をたて、かすれたような声でこう答えた。
「ごめんね、真子ちゃん・・・起こしちゃって。でもこれから大切なニュースが流れるから、真子ちゃんは静かにしていてね。パパもママもそれを聞きたくて、夜中に一緒に起きてテレビを見る約束をしていたのよ」
 そう言ってからママは、画面の中央を指差してこう付け足した。
「あそこに、5つの輪っかの絵が描かれているでしょう?あれはオリンピックという大きなお祭りのマークなのよ。このお祭りは4年に一度開かれるんだけど、2020年のお祭りをどの国で開くかが、これから投票で決められることになっているの。パパもママも、是非このオリンピックを東京で開いて欲しいって願っているのよ」
 真子は、パパやママがわざわざ夜中に起き出してまでテレビにくぎづけになるくらいだから、オリンピックというお祭りはとても楽しいお祭りなんだろうなぁ・・・と思いを巡らした。以前見たことあるお祭りみたいに、お神輿が出たりするのかしら?
今日は、小説の構想についての話をしてみようと思います。
人それぞれ好きなジャンルはあると思いますが、わたしはたとえ現代ものを書くとしてもファンタジーな作品に仕上られたものが好きです。
最近のものだと、辻村深月の「ツナグ」のような作品でしょうか?
でもそう言い切れるようになったのも、実はつい最近のことなんです。それまではいろいろなジャンルに魅力を感じてしまって、自分は一体どんな作品を書けばいいのか随分と長い間悩んだ時期がありました。本気で作家になりたいと思っていたわけでもなかったので、なおさらいろんなジャンルを書いてみたい衝動に駆られたんでしょうね。
 ところが、そうやって書く作品ってどれも長続きがしない。書いていても途中で投げ出してしまったりする。そのうち自分でも嫌気がさしてきて、結局はまったく小説を書かなくなってしまいました。
 そんなわたしが、ファンタジー小説を書こうと思い立ったのは2年ほど前のこと。ひょんなことがきっかけで思いついた小説の構想があり、是非ともそれを書くための文章力をつけたいと思ったんです。そしてその構想こそがファンタジー小説でした。
「好きこそものの上手なれ」といいますが、ファンタジーを書くと決めていると不思議と筆が進み、途中で断念してしまうことがなくなりました。何より書いていて楽しくなるから不思議です。普通、小説を書いていると、途中で作品が面白くなく思えてきて筆が止まってしまったり、先を書く意欲が湧いてこなくなったりするものなんですよね・・・。
 とはいっても、読む本のジャンルがファンタジー一辺倒というわけではないんです。たとえば今話題の「半沢直樹」のような作品も大好きですし、「武士の家計簿」のような事実に基づいた作品も大好きです。ただ、何と言ったらいいのでしょう?わたしが考え付く面白そうな話というのは、ファンタジーなんですよね・・・。現在執筆中の恋物語にしても、今のところはファンタジーの匂いはまだしてこないと思いますが、紛れもないファンタジー作品です。そういう構想を練ったうえで着手している作品なので。
 たぶんわたしにとって、一番大切に思っているものを描くのに、ファンタジーという手法がもっとも相性が良いのだろうと思います。人に相性があるように・・・、小説を書くにも相性があるように思います。

今日からの3日間、「執筆の合間に」の次回候補作を皆様に選んでいただくため、1日に1作ずつ(A~C案)検討中の構想案を提示していくことに致しました。
そして3日後(14日)の23時59分までにいただいた拍手数のうち、最も多くの拍手をいただいた作品を、次回作としてブログにUPしようと思います^^
なお上位が同数になってしまった場合には、最終的にわたくしの判断で1つに絞らせていただく予定です。
作品の質向上をはかるための試みでもありますので、どうぞ皆様ご協力のほど、よろしくお願い致します。

[作品A]

 ある日、僕の住むマンションの向かいの部屋に若い女性が引っ越してきた。OL1年目だというその女性は、引越しの挨拶に出向いてきた日以来、通路ですれ違うたびに屈託のない明るい笑顔を向けてくるようになる。そんなさわやかな彼女に惹かれた僕は、毎朝決まった時間に出勤していく彼女に合わせて、マンション前までゴミを運んで行くようになった。無論、彼女と挨拶をかわすためである。
それから1ヶ月。たまたま編集部での打ち合わせを終え帰宅した僕は、玄関ホールの隅にある人気のない郵便ポストの前でたたずむ彼女を見かける。
彼女はどこか思いつめた顔でポストの前に立ち、息をととのえるように大きく一つ深呼吸をした。そして恐る恐るポストを開けて中の手紙を取り出すのだが、お目当てのものがなかったのか、落胆するように溜息をもらす。
その後も何度か彼女の同じような様子を目にした僕は、郵便ポストに立ち寄るたびに、つい彼女のポストに何か入っているかが気になってしまうようになる。
ーそんなことが続いた、ある金曜日の夜のこと。ほぼ定時を守って帰宅する彼女が、その日に限っては夜遅くまで帰って来なかった。僕は近所のコンビニへ出かけようと玄関ホールまで降りていくが、ちょうどそこへ小包を抱えた郵便配達人が彼女のポストに荷物を投げ入れるのを見かけて・・・


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二日目にご紹介する作品は、主人公が久しぶりに故郷へと帰省した時のお話です^^

かつて通っていた小学校が廃校になるという噂を聞きつけ、「僕」は工事の看板が立てられた古い木造校舎へと足を運びます。そこで「僕」は、校庭の壊れかけたブランコに一人腰かけている女性を見つけるのですが・・・。

忘れかけていた古い記憶が蘇る時、「僕」の目がしらには熱いものがこみ上げて・・・

[作品B]

 子供の頃の記憶というものは実に奇妙なものだ。後年、大人になってから再び同じ場所を訪れてみると、広くて大きな印象を持っていた場所が思いの外小さく狭く映って、実際はこんなものだったのかと当惑したりする。僕の通っていた小学校の校舎や、校庭、そして力いっぱい駆け回っていたあの運動場でさえ、今の僕の目には滑稽なほど小さく見えた。
 僕は校舎の北側(そこは以前職員室として使われていた場所であったが)の棟へと足を向けた。この棟の前庭には大きなもみの木が一本立っていて、その根元近くには小さな滑り台が置かれていた。僕はふとそれらが、今も残されているのか確かめたくなったのだ・・・

 もみの木に別れを告げ正門へと戻る途中、僕は来る時には見かけなかった一人の女性の姿に気がつき足を止めた。清潔感のある白いワンピースにしっくりくる美しく長い黒髪。清楚なイメージのその女性は、壊れかけた古いブランコの持ち手にためらうことなく細い両腕をあずけ、一人腰かけていた・・・


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さて、今日で「執筆の合間に」の次回候補作の紹介も最後となりました。
本日、日付が変わるまでにいただいた各作品の拍手数で、次回作をどれにするか決めるつもりでおります。
作品を御一読下さった皆様、気に入った作品がありましたら是非拍手をしていただきたく、よろしくお願い申し上げますm(_ _)m
なお、次回作の掲載につきましては来週中を予定しております。

[作品C]

--風が心地よい季節になった。ある晴れた朝、僕は書斎の窓を開け、手狭になった書棚の整理を始めようと思い立つ。床に置き去りになった新しい本たちを棚に収めるには、まず書棚に並んでいる古い書物をしまいこまなければならない。僕はミカン箱サイズのダンボール箱に、次々と馴染みの本たちを入れていった。
やがて、書物に紛れて並べてあった古いアルバムを手にとった僕は、何気なくページをめくる。
すると、大学時代に取った写真の一つに目が止まった。それは、いとこの愛美(えみ)が友達の女の子を連れて僕の大学のキャンパスに来た時、記念に3人で取った写真だった・・・

・・・「真理ちゃんていうんだけどね、その子。すっごく可愛くて性格も良いの!あんまり可愛いから、うちの大学の教授に見染められて、結婚して欲しいって告白されたぐらいなんだよ!」
愛美は興奮した口ぶりで、無関心を装っている僕にそう言って話しかけてきた。
だが、女の言う「可愛い」って言うのは、まゆつばものだからなぁ・・・。そう思っていた僕は、愛美の話を適当に聞き流していた。
「今度さあ、大学に連れて行こうか?」
愛美は僕が無反応なのが気に入らないのか、詰め寄るようにそう言った・・・

「僕」の心を虜にした女性「真理」との淡い恋を、ファンタジーなタッチで描く物語です。

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「執筆の合間に」の次回作ですが、拍手数が最も多かったA案に決定致しました!

今回、拍手での投票に参加して下さった皆様本当にありがとうございました。
大変勉強になりましたm(_ _)m
選ばれましたA案につきましては、早速執筆に取りかかり、遅くとも来週中には掲載の予定です。

これからも引き続き、皆様のご意見、ご感想をお待ちしております。

                        管理人 エンジェルズアイ

                      
 最近ママは、パパと二人連れだって、ちょくちょく外へと食事に出かけるようになった。
「真子ちゃん。ママちょっとパパと一緒に出かけてくるわね」
 ママったら、真子がめいっぱい恨めしそうな顔をしてママを見つめていても知らんぷり。
「2時間まではかからないと思うから、一人でお留守番できるわよねぇ。真子はもうお姉ちゃんだもの!」
 なんて間延びした声で言うだけだ。こういう時のママは、真子がなんて言っても無駄。いくら「ママ行かないで!」ってお願いしても、「真子だけおいてくなんてひどい!」って抗議しても、「大丈夫よ。すぐに帰って来るんだから」となだめ口調でかえされるのが関の山。

 この間遊びに来てくれた明お兄ちゃんに訊ねたら、「いまママはとても仕事が忙しいんだよ。たまには家事を休んで息抜きもしなくちゃね」と言ってたけど、真子一人お留守番させられるのはやっぱり嫌。どうして一緒に連れて行ってくれないのだろう?って悲しい気持ちになる。
 ついさっきもダイニングテーブルの上に置いてあった携帯電話が鳴ったかと思うと、「あらパパ、早いわね!」と叫ぶママの嬉しそうな声が響いてきた。真子が不安になって近寄っていくと、やっぱり電話口のパパに外食しようともちかけている。
真子はママが電話を切るのを待って、悲しそうな声で話しかけた。
「ねえ、ママ・・・」
 けれどママは、取り付く島もない言い方で真子に背を向ける。
「真子ちゃん。ちょっとお留守番しててくれる?」
 そう言って手早くエプロンをはずしてダイニングテーブルの上に置くと、リビング奥の階段をとんとんと上がって行く。真子は慌てて後を追った。ママは突当りの寝室のドアを開けながら、足下の真子を見下ろしてさらりとした口調で言い添えた。
「そんなに遅くはならないから・・・」
ーー真子はがっくりと首を項垂れた。尻尾は力なく床につき、悄然とした様子で寝室の床に座り込む。
だがこの時何気なく後ろを振り返ったママは、自分の顔色をうかがうように見上げる哀れな様子の真子の姿を目にしてさすがに胸が痛んだ。これまで自分の気が晴れず出かけることばかり考えて、真子を気に留めていなかったことが後悔されてきた。ママはそっと真子のそばに寄ると、頭を何度も撫でながら、「ごめんね。なるべく早く帰るから・・・」と優しい声をかけた。
すると真子は、少し元気を取り戻して言った。
「ほんと?じゃあ早く帰って来てね!」
 そう言って心持ち尻尾を振り、ママを送り出したのだった。
 

 住宅地を抜け駅へと向かう道すがら、夜道を照らす街灯の数がしだいに増え、飲食店の看板がちらほら見え始める商店街の入り口間際まで来たところで、ママは立ち止まり心の中でつぶやいた。
(決めたわ!もう、真子を置いて外出するのはやめよう!だって、いつだって真子が一番わたしを癒してくれるもの・・・。真子が嬉しそうにしてると、わたしも元気をもらえる。だから明日からは、真子をお留守番させるのはやめにしましょう!)
 
こうしてママは待ち合わせ場所まで行きパパとおちあうと、その足ですぐに家に帰り、真子を喜ばせたのだった・・・めでたし、めでたし。

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それは、A4サイズの厚めの茶封筒だった。
郵便受けに入っている小包をじっとのぞき込みながら、僕は彼女がずっと待ち望んでいた郵便物はこれに違いない!と、そう直感したのだったーー。

 彼女がこのマンションに引っ越してきたのは、約一月ほど前のことだった。8月末締め切りの原稿に追われ、部屋に缶詰め状態になっていた僕は、突然鳴ったチャイムを煩わしく感じながらも席を立ち、しぶしぶ部屋のドアを開けた。
 その時の僕は、さぞかし不愉快な表情を浮かべていたに違いない。ドアの向こうでにこやかな笑顔を浮かべて立っていた彼女の顔が、僕を見た途端表情をひきつらせたのを今でも覚えている。だが、彼女は生来が明るい性格だったのだろう。そんな気まずい初対面であったにもかかわらず、その後も通路ですれ違うたび、彼女はいつでも屈託のない明るい笑顔を向けてくれたのだった。そんな爽やかな彼女に、僕が心惹かれるのにそう時間はかからなかった。
OLをしているらしい彼女は、毎朝きっかり同じ時間に会社へと出勤して行く。僕はその時間を見計らって、マンションの出入り口にあるゴミ捨て場へと下りて行くようにした。そうすれば、自然彼女と顔を合わせることになり、挨拶をかわせるからだ。こうして初対面での僕への悪印象も、少しは払拭できたのではあるまいかと自負しはじめていた矢先のことであった。
 たまたま編集部での打ち合わせを終え帰宅した僕は、玄関ホールの隅にある人気のない郵便受けの前でたたずむ彼女を見かけた。
彼女はどこか思いつめた顔で、一人自分の部屋の番号が記された郵便受けを見つめている。何となく声をかけづらくそっと様子をうかがっていると、彼女は息を整えるように大きく一つ深呼吸をした。そして恐る恐る鍵を開けて中の手紙を取り出したのだが、お目当てのものがなかったのか、落胆したように小さな溜息をもらした。
その後も、僕は何度か同じような光景を目にした。そうする内マンションに出入りするたびに郵便受けの中身が気になるようになり、人のいない時には、つい彼女の部屋番号の箱に何か入っていないか覗き見るようにまでなっていった。
ーーそして、そんなことが続いたある金曜日の夜のこと。ほぼ定時を守って帰宅する彼女が、その日に限っては夜遅くまで帰って来なかった。僕は近所のコンビニへ出かけようと玄関ホールまで降りたのだが、ちょうどそこへ小包を抱えた郵便配達人が彼女の郵便受けに小包を入れるところに出くわした。僕は自分の郵便受けを確認するような素振りで郵便配達人が去るのを待ち、いけないこととは思いつつも彼女の郵便受けの中を覗いてしまったのだった。
 中に入っていたのは、分厚い茶封筒の包みであった。
見た瞬間僕は、正直中に何が入っているのかこっそり開けてみたいという衝動に駆られた。だが、万が一小包の中身を勝手に見たことが発覚でもしたら・・・、そしてそれが自分ではないかという疑惑がもたれでもしたら、僕に対する彼女の印象は最悪のものになってしまうだろう。そう思うと、なかなか勇気が出なかった。
その夜、僕はまんじりともせず、帰宅してくる彼女が荷物を見てどんな反応を見せるだろうかと、自分の部屋の玄関ドア越しに向かいの部屋の様子に聞き耳をたてていた。
しかし・・・夜遅く帰宅した彼女は、普段以上に静かに部屋のドアを閉めたきり、その後、声をあげるどころか物音一つたてることはなかったのである。
 翌朝、僕はいつもの時間にゴミ置き場へと降りて行った。土曜日にもゴミの収集はあるが、会社の休みの日には彼女が姿を見せることはない。分かってはいたものの、もしかしたらゴミを捨てにくるかも知れない・・・そんな淡い期待を抱いていた。だが、それはやはり期待外れに違いなかった。僕はしばらく待って無駄だと悟り、持ってきたゴミを分別して収集箱に入れ部屋に戻ろうとした。ところが箱のふたを閉じようとしたその時、僕は一瞬可燃ゴミの中に気になるものを見つけて手を止めた。
(これは!・・・あの茶封筒じゃないか?)
 何とそこには、昨日見たあの彼女あての小包が無造作に投げ捨てられていたのである。明らかに開封された後はあったものの、封筒の厚みからしても、中身はほぼそっくり捨てられているように見受けられる。僕は周囲に人がいないのを確認すると、茶封筒を拾い上げて小脇に抱えこみ、そのまま小走りに階段を駆け上がって自分の部屋へと舞い戻った。

 
「風が気持ち良いねぇ!」
久しぶりに真子を連れ、近所の公園へと散歩に出た明は心地よさそうな声で言った。
秋の気配を感じさせる冷んやりとした風が、公園の散策路を歩く真子たちの背中を押すように吹き抜けていく。
 ウッドチップ製の赤茶けた歩道の上に、ときおり舞い上げられる枯れ葉を追いかけ遊びながら、真子は中央広場に大勢集まっている子供たちを横目で眺めた。
「明お兄ちゃん、あの子たち何をしているのかしら?」
真子の問いかけに、明は緑の芝生の上にあるベンチまで行き腰かけて答えた。
「ああ。ときどき公園奥にある運動場で体操教室をやってるみたいだから、それに参加する子供たちだね」
「体操教室?」
 真子が首を傾げてたずねる。
「小さな子供たちが、体操の先生に体操を教わったりゲームをして遊ぶんだよ。ほら列の先頭と最後尾に立った若い男の先生と女の先生が、子供たちに呼びかけて整列をさせているだろう?」
 明お兄ちゃんの言う通り、さっきまでばらばらに行動していた子供たちが先生の指示に従って列を組み始めた。それを見ながら真子はうらやましそうに言った。
「真子は体操教室に参加したことないの。楽しそうだね・・・」
 明お兄ちゃんはそれを聞いて、真子をじっと見つめた。
「真子ちゃんも、お友達がたくさん欲しいかい?」
 すると真子は、訴えるような目で明お兄ちゃんを見上げた。
「うん・・・。たまにお散歩ですれ違うことはあるけど、みんなで一緒に走り回ったり遊んだりすることないもの」
「そうかぁ・・・」
 明お兄ちゃんはそう言ったきり、黙って遠くを見つめていた。しかししばらくすると何事か思いついたようにポンと膝をたたいて言った。
「だったら今度、県立公園で催されるペット祭りに参加してみたらどうだろう?たくさんのワンコ連れが参加するし、きっと楽しいんじゃないかな」
 真子は思いがけない提案に、目を輝かせた。
「真子行きたい!ママたち連れて行ってくれるかな?」
 明はにこにこして応えた。
「大丈夫だよ。僕からママたちに頼んであげる。それに、もちろん僕も一緒に参加するよ」
 たちまち真子は嬉しくなり、尻尾を激しく横に振りながら明お兄ちゃんの膝にじゃれついた。
「うん、明お兄ちゃんも一緒にね!パパとママと明お兄ちゃんと真子、みんなで一緒にペット祭りに行こう!」
 その日はお散歩の間中、真子は上機嫌で明お兄ちゃんとお喋りをしながら歩いた。
ペット祭りの日は何時に待ち合わせしようとか、お昼はどこで食べるとか。あるいは当日行われるイベントで面白そうなものには、できるだけたくさん参加してみようとか。いろいろな相談をしたのである。
 そして散歩から帰ると、真子はママの前にきちんとお座りをして、明お兄ちゃんがママにペット祭りの話をするのを聞いていた。
 ママはひとしきり明お兄ちゃんの話を聞くと、壁のカレンダーをめくりおもむろに訊ねた。
「真子ちゃん、ペット祭りに行ってみたいの?」
 真子は緊張した声で答えた。
「はい!」 
 ママは真子の神妙な様子に笑みをこぼし、「じゃあ、みんなで行きましょうか!」とはりきって叫んだ。その途端真子は跳びあがって喜び、ちぎれんばかりに尻尾を振ってリビングを駆け回った。
そんな真子の様子を見てママは隣の明に目配せをし、二人は声をそろえて笑った。


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