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 私の好きな作家の一人に、「宝島」や「ジギル博士とハイド氏」の著作で知られる、ロバート・ルイス・スティーブンソンがいます。
 彼は美文家としても有名で、作家であるとともに詩人でもありました。
読者を魅了する詩情豊かで流れるような文体は、詩人としての彼の才能に裏うちされたものだったというわけです。
 私は現在詩作には取り組んでいませんが、小説を書く上で、詩情豊かな文章を書けるようになりたいという願望は強く持っています。
 そんなこともあり最近、執筆に行き詰って気分がのらない時や、何となく心がささくれだっているなぁ・・・と感じた時などに、詩を読むようになりました。
そして気づいたのですが、「詩」には、美しい音楽がそうであるように、読む者の疲れた心を癒し、希望をも与えてくれる力があるのです。
 学生の頃は詩をゆったりと読んだ記憶があまりなく、ましてや詩作に時間を割くということなどもなかったので、詩の持つ力、その豊かな世界を知らずに過ごしてしまいました。

 そこで「詩人の小部屋」では、皆さんとご一緒に、ほんの束の間でも「詩」の世界に身をおき、その豊かな世界にひたれることができたらと思っています^^

 さて第1回目の今日は、日ごとに秋めいてくるこの季節にぴったりの詩、「イニスフリーの湖島」をご紹介したいと思います。作者はノーベル文学賞を受賞したアイルランドの詩人、ウィリアム・バトラー・イェーツです。

さあ立上がって行こう、イニスフリーに行こう、
そして土壁づくりの小屋をそこに建てよう。
そこには九条の豆を植え、蜜蜂の巣をおこう、
そして蜂の羽音の騒がしく聞こえる渓にひとりで住もう。

そこでは心の静けさが得られるだろう、ゆっくりとした心の静けさが
朝の帳からこおろぎの鳴くわが小屋におりて来るから。
そこでは夜はかそけき光に満ち、昼は華やかに光が輝き、
夕暮れは小鳥の羽ばたきが聞こえる。

こんどこそさあ立上がって帰ろう、昼となく夜となく、
湖畔に打ち寄せるあの低い波音が聞こえるから。
こうして都会の道路に、灰色の舗装路に立つときも、
心の奥深くあの波音が聞こえる。


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妖精の帽子には不思議な力がある。
皆さんは、そんは古い伝承があることを御存じですか?
私たちの住む世界のどこかに、暮らしているといわれる妖精たち。
けれど私たちは、彼らの暮らしぶりを知ることはなかなかできません。何故って彼らは姿を隠すのがとても上手で、容易に見つけることができないから。
けれども夜遅く、私たちが寝静まるのを待って、妖精たちはそろって姿を現します。
そして夜通し、夢中になっておしゃべりを始めるのです。
彼らに気付かれぬよう、夜こっそり眠ったふりをしてみませんか?
そうすれば、妖精たちの内緒話が聞こえてくるに違いありません。


青帽子の妖精
「ねぇ、知ってる?明日の晩、向こうの世界から神様たちが訪ねて来られるそうだよ」

オレンジ帽子の妖精
「えっ!何をしに来られるの?」

白帽子の妖精
「私知ってるわ。何年かに一度、神様たちは人間のふるまいを見定めるために、こちらの世界へ来られるのですって」

オレンジ帽子の妖精
「そうなんだ・・・。じゃあ、もし悪いことをしている人間たちをご覧になったら、きっととてもお怒りになるだろうね。ちょっと心配だな」

青帽子の妖精
「オレンジ帽子くんは、悪い人間を見かけたの?」

オレンジ帽子の妖精
「うん、僕はときどき学校に出かけるからね。他人に嘘をついたり、意地悪をする人間たちをたくさん見かけるよ」

白帽子の妖精
「でも・・・、それだけで神様がお怒りになるかしら?」

青帽子の妖精
「僕、テレビのニュースでいじめられて自殺した子供たちのことを見たよ・・・。相手が死にたくなるまでいじめるのってひどいよね。神様もお許しにはならないんじゃないかな」

白帽子の妖精
「そうかも知れないわね・・・」

オレンジ帽子の妖精
「でも人間たちはとても賢いから、神様たちがこちらにお出でになることを知っていて、お宮に大勢集まって、神様をお喜ばせしようとしているみたいだよ」

白帽子の妖精
「ああ、それなら私もテレビで見たわ。ほんとにたくさんの人間たちが神様にお参りしている様子が映っていたわ」

青帽子の妖精
「神様の怒りが静められるかしら・・・」

白帽子の妖精
「神様は公平な方だから、良い行いをしている人間たちをご覧になったら、お気持ちを静められると思うわ。とても寛大な方々ですもの」

青帽子の妖精
「白帽子さんは、神様が怖くはないの?」

白帽子の妖精
「ええ、ちっとも。だってとても優しい方々ですもの」

オレンジ帽子の妖精
「白帽子さんは正しいと僕も思うよ。でも人間たちは、もう少し成長しなくてはいけないね。神様をみならって、もっと優しい心をもたなければ」

青帽子の妖精
「そのとおりだね。神様にお参りするだけじゃなくて、自分の仲間たちのことも大切にしなくちゃね」

妖精 イラスト2

新千歳空港に降り立ったのは、秋の気配が深まる10月半ばのある朝のことだった。
羽田空港で思いのほかペットを預けるのに手間取り朝食を取れずじまいだった私は、到着後すぐに愛犬を連れ空港近くのアウトレットモールへと向かった。ここにペットと一緒に食事ができる場所があると聞いていたからである。
旅の初日とはいえ、まずは空腹を満たさねばゆっくりと観光を楽しむことなどできはしない。
ところが不運にも、朝から降り続く雨のせいで屋根のないテラス席はびしょぬれで使用できず。
もしや・・・と淡い期待を抱いたレストラン店内へのペットの入室もできず、食事は断念せねばならなかった。
結局、モール内にあったバーガーショップでアメリカンドッグとハンバーガーを購入して駐車場の車の中へ。雨の中、愛犬にドッグフードとハンバーガーにはさまっていたレタスの端を与えながら、味気ない食事を早々に済ませたのだった。
車を走らせながら、最初の目的地の支笏湖へ。
この雨では湖の風景を楽しめまいと覚悟はしていたものの、いざ湖面まで降りて行き、かすんで何も見えない湖を目の当たりにした時には、さすがに落胆した。
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傘をさしながら、とぼとぼと湖畔を歩く。秋色に色づく公園の木々と花壇に植えられている赤いダリアの花が、雨に洗われひとしお鮮やかに目に映る。ほんの少し、救われる思いがした。
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ここまで出向いたのは、あながち失敗でもなかったかも知れない。帰りがけ立ち寄った土産店で、「手作り」と台紙に書かれた皮製の栞を購入した。北海道を代表する花「すずらん」が描かれており、いかにも素人っぽい作りだったが、そこが味があって気に入った。
車に戻って行くと、ひとり駐車場の車内で待っていた愛犬が、私の姿を見つけて吠え立てる。
雨の中では犬を連れて歩くのは億劫だ。車に乗せる前に濡れた体をふき取り、泥で汚れた足を綺麗にしてやる必要があるからだ。その面倒を嫌って車内に置き去りにしたのだが、彼女にはどうもそれが面白くないらしかった。
私の愛犬(彼女)は大の旅好きだ。車酔いもしないし、車を停車してドアを開けてやると、満面の笑顔を浮かべて外へと跳び出てくる。犬が笑顔?と思うかも知れない。だが実際犬というのは、すこぶる表情豊かな動物なのだ。旅先での彼らの様子を見ていると、このうえもなく楽しんでいるらしいのが手に取るように分かる。思うに犬という生き物は、生まれつき旅好きなのに違いない。
やれやれ、早く雨が上がってくれないと、私の愛犬の機嫌はさらに悪くなりそうだ。
さて支笏湖を後にして、今夜逗留を予定している洞爺湖へと向かって車を走らせる。幸い少しずつ雨足も弱まっていくようだ。ほっとして車窓を眺めると、まっすぐに伸びる道に沿って赤や黄色に染まった木々の景色が走り去っていく。
北海道は紅葉の季節だ。
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*画像はクリックすると大きくなります。

旅の疲れもあるのでしょうか?
少し読書に耽りたい気分になり、いくつか読みかけていた本を読んだ後、イギリスの詩人キーツの詩集を手に取りました。
「美の詩人」とも呼ばれるキーツ。惜しむべきは、その才能がわずか25年の生涯で幕を閉じてしまったこと。
天才の豊かな詩情とともに紡がれる生(いのち)への讃歌は、溢れんばかりの若き詩人の熱情を読む者にしらしめ、心の安寧とともに、立ち上がる勇気をも鼓舞してくれます。
今日は、夭逝の詩人キーツの代表作でもある「エンディミオン」の詩の一節をご紹介したいと思います。
皆様とともに、この若き天才の詩を心ゆくまで鑑賞できれば幸いに存じます。


『エンディミオン』より
(第1-33行)

美しきものはとこしえに歓びである。
そのめでたさはいや増すばかり、それが無に
帰することは絶えてなく、常に吾らがため
寝間を静粛に保ち 眠りをば
佳き夢と健康と安息もて満たし
           やまない。

さればこそ 朝毎に 絶えず吾らは編み続ける
わが身を大地につなぐ花の絆を、
いかに 失意に迫られようと 心の気高き人々が
惨として世上に乏しくとも 憂いに翳る日々があり
尋(と)めゆくべきさだめの道の悉く健やかならず
暗澹たれども。然り、ありとあらゆる不如意にも拘わらず
形象(かたち)美しき或るものが 吾らが暗みし精神より
塞ぐ覆いを奪い去る。等しく然様(さよう)のものだ 日も 月も
無垢な羊に蔭深き恵みを茂らせ展べる
老木も 若やぐ樹々も、同じく然様のもの 黄水仙も
その生(いのち)息づく緑の地平と諸共に、炎暑の季(とき)に備え
吾とわが身に涼しく隠(こも)る場を設ける
清流も、美(うま)しき麝香薔薇(じゃこうばら)の花をちりばめ
豊かに生い籍(し)く 森の奥処(おくか)の草むらも。
更には 偉いなる死者たちのため 吾らが想像(おもい)に偲ぶ
運命の壮大もまた 然様のもの、
吾らが耳にし または 読み味わえる愛すべきあらゆる
                       物語ーー
天際より吾らに向い降り注ぐ
不滅の甘露の尽きせぬ霊泉もまた。

なおまた これら美の精髄を吾らが身に受けること
短き一刻(ひととき)のみにて終わりはせぬ、然(さ)にあらずして、神殿を廻り
ざわめく樹々の いちはやく 神殿そのものに等しく
貴くなりゆく まさにその経緯をそのまま 月もまた
熱き情(こころ)を抒(の)べる詩歌も 不朽の栄誉も
絶えず吾らに寄り添い ついには 吾らが魂を
鼓舞する光となり 更に 固く吾らと結ばれては
吾らが上に日が耀き はた 暗影の閉すとも関りなく
常に吾らと共に在るべく さもなくば 吾らは死する他
                     なき迄に。

約束の日が来た。
パパの運転する車に乗った真子たち一行は、「ペット祭り」の会場となる市立中央公園へと向かって出発した。もちろん、明お兄ちゃんも一緒である。
この日は朝から素晴らしい晴天に恵まれ、会場は大勢のペット連れで賑わっていた。助手席のママに抱っこされていた真子は、車の窓ガラスに鼻をつけて外を眺め、嬉しそうにはしゃぎ声を上げた。車が公園の敷地内に入った辺りから、通路のあちらこちらに愛犬連れの家族の姿がいくつも見える。さらに駐車場に着くと、停車している車の中からも次々にワンちゃんたちが降りて来る姿が見えた。
「わあ~、ワンちゃんがいっぱい!」
これだけのワンちゃん連れが集まるのを、真子はこれまで見たことがなかった。それは明お兄ちゃんも同様だったらしく、「結構集まってるねぇ。凄いなあ」としきりに感心していた。
そうやって明お兄ちゃんと真子が珍しげに周囲のワンちゃん連れに見とれている間、パパとママはさっさと会場入口で入場券を購入して戻って来た。
そしてパパは、入場券と一緒に渡された会場案内図を眺めながら、「まずは会場を1周してみて、それから見ていく順番を決めることにしよう」と言った。この提案にママと明お兄ちゃんもすんなり同意し、真子たちは会場の入り口に近い順に、行われているイベントを見物して回ることにした。
広い会場にはいろんなコーナーが設けられていた。
アジリティ競技にも参加しているワンちゃんたちのスピード感あふれるショー。それぞれ趣向を凝らした衣装を着て上手にダンスをするワンちゃん。その他参加型のイベントなどもたくさんあった。例えばアジリティが初めてのワンちゃんばかりを集めて、遊び方をパパやママも参加して学ぶというコーナーなんかもあった。真子はアジリティを使って遊んだことがなかったので、これには興味しんしん。
そして会場には、わんちゃんグッズを取り扱うお店もいっぱい軒を並べていた。パパや明お兄ちゃんが参加型イベントを熱心に見ている傍で、ママは「真子に似合いそうな洋服はあるかしら?」などと言いながら、ちらちら店先をのぞいていた。
そうやってしばらく歩くうち、ふとママが前を歩く一組の家族に目を止め声をかけた。
「あら・・・、山田さん?」
ママの声に真子が顔を上げると、こちらを振り向いたのは見覚えのある親子連れと、見たことのない一匹のコーギーだった。
山田さんと言うのは近所に住む小学生の男の子のいるお宅で、真子も何度かお散歩の途中で顔を合わせたことがある。小学4年生になる男の子が真子に興味を持っていて、出くわすといつもかがんで頭を撫でてくれた。その山田さんが、知らぬ間にコーギーを飼っていたらしく、ペット祭りに来ていたのだった。
ママは山田さんの連れているコーギーが、番号札のついたバンダナを巻いているのを見て、驚いて話しかけた。
「一発芸に参加するの?なになに・・・優秀なワンちゃんは、タレントデビューの可能性ありですって!」
イベント会場で配られていたチラシを読んでママが甲高い声で言うと、山田さんは照れ臭そうな声で応えた。
「うちの子はタレントデビューなんて無理無理!ただ、ちょっとだけ普段教えた芸を披露してみようかなって思っただけなのよ」
ママはパパと明お兄ちゃんを呼び止めて、山田さんのワンちゃんが参加する一発芸のイベント会場から見物しようと言い出した。

真子は舞台の上で、ピストルに撃たれて死んだふりをしたり、ハイタッチをしたりして芸をするコーギーを見てママに話しかけた。
「ねえ、ママ。真子にもできるよ、あれくらい」
けれどママは、首を横に振って言った。
「ママ、真子ちゃんには舞台に立ってもらいたくないの。のんびり家族で過ごす今の暮らしがとっても大切だから・・・。もし真子ちゃんがタレント犬になったら、忙しくて一緒にいられる時間はとっても少なくなってしまうのよ」
それを聞くと、真子も納得したように応えた。
「真子ずっとママのそばにいたい。いつでもママと一緒がいい。だからタレント犬にはなりたくないな・・・」


宿へのチェックイン予定は午後4時。
それまでには、まだ数時間の余裕がある。ようやく雨も上がり、この分なら愛犬を連れて散歩するのもそう苦にはならないと思い直した私は、周囲の人気観光地の一つ昭和新山に立ち寄ることにした。赤信号で停車したタイミングを見て、車のナビをセットしなおす。
道すがら雨を降らせていた黒雲は彼方へと姿を消し、空はしだいに明るさを取り戻していった。やがて視界を覆っていた雑木林が途切れ海沿いへの道へと開けた瞬間、目の前に大きな虹が現れた。海の上にかかる七色の橋に感激し、慌ててカメラを手にシャッターを押す。

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虹を見たのは何年振りだろう?
それもこんな大きな虹・・・、もうずいぶんと見た記憶がない。

車が昭和新山の噴火口「金毘羅火口」に着く頃には、空には澄んだ青空がのぞき、日も差し始めていた。
支笏湖ではやや寒さを感じたウインドブレーカーも、ここでは腕まくりしたくなるような暖かさだ。
愛犬を連れて車を降り、噴火口のふもとにある駐車場の立て看板を眺める。駐車場は噴火口を見下ろす丘の上にもあると分かり、車に戻り急勾配をよじ登るように走らせて丘の上へと向かう。

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眼下に緑色の水を湛えた火口と、広大な湖「洞爺湖」を望む。
吹きわたる風に、旅の高揚感がいや増すようだ。
丘を見下ろす愛犬の足取りも軽く、私たちは車に乗って丘を滑り降りると、次なる目的地「昭和新山」を目指し走った。

昭和新山に着いたのは午後1時過ぎ。快晴となった空の下、山裾で色づく灌木林にも見劣らぬ赤い山肌を見せる新山は、脈打つ山の息遣いとでもいったものを感じさせるような迫力で聳え立っていた。
いつ山が鳴動しても、恐らくは誰も驚きはしないだろう。

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車を降りて付近を散策する。手入れのされた芝の上や整備された舗道を歩きながら、土産物屋の店先を眺めて回る。
しばらく行くと、舗道から一段低くなった敷地の奥に、雰囲気のある佇まいのガラス工芸の店があるのに気づき店内に入ることにした。(この間、相棒の彼女には店の前で待機してもらうことにする)
色とりどりのガラス細工に目移りしながらも、気に入った置物をいくつか選び購入。店を出ると相棒(愛犬)が恨めしそうに私の顔を見上げて、申し訳程度に尻尾を振ってみせた。
さあ、今日の観光はこれで終了。後は宿に向かうばかりだ。


 秋から冬へと季節が廻り、妖精たちにとって1年で最も忙しい時期が到来しました。
 冬が来る前のこの時期。果実を好んで食する妖精たちは、冬の間の食糧も貯えておくため、毎日野山を駆け回ります。けれどもようやく果実の収穫を終えたと思う頃には、今度は「ハロウィン」という1年で最も大きなお祭りが待っているのです。そのため妖精たちは、忙しい合間をぬってたびたびハロウィン集会にも出席しなくてはなりません。
 ですから普段はのんびりと日々を過ごしている妖精たちも、この時ばかりは、皆目の回るほどの忙しさになるのでした。
 そんなある日の午後のことです。冷たい北風が吹き抜ける山裾の林の中で、偶然行き会ったオレンジ帽子の妖精と白帽子の妖精が立ち話を始めました。

オレンジ帽子の妖精
 「こんにちは、白帽子さん。今年の収穫の方はどう?もう冬用の食糧は集まったかい?」

 白帽子の妖精
「こんにちは、オレンジ帽子さん。それが、ついこの間まで風邪をこじらせて長く寝込んでいたものだから、まだ十分な量が集まっていないの・・・。もうじきハロウィンだというのに、このままだと皆さんのお手伝いができなくなるんじゃないかと心配してるところなのよ」

オレンジ帽子の妖精
「それは困ったね・・・。僕もまだあまり集まってはいないんだけど。だったら、青帽子さんや緑帽子さんたちにも声をかけて、皆で協力して食糧集めをしたらどうだろう?」

 白帽子の妖精
「本当に!そうしてもらえたら、とても助かるわ。でも皆忙しく出歩いているから、見つけるのは大変そうね・・・」

オレンジ帽子の妖精
「それがね。ちょうど明日ハロウィンの集会で集まることになっているんだよ。だから、白帽子さんも一緒にその集会に出席したらいいよ」

 白帽子の妖精
「まあ、それは良かったわ!ええ、もちろん出席します。ではまた明日、ごきげんよう・・・」

 白帽子の妖精は嬉しそうにそう言ってオレンジ帽子の妖精にお辞儀をすると、忙しげな足取りで林の奥へと去って行きました。
 さて、その翌日。ハロウィンの集会に集まってきた妖精たちの中に、仲の良い青帽子、緑帽子の姿を見つけたオレンジ帽子の妖精は急ぎ足で二人に近寄り声をかけました。

オレンジ帽子の妖精
「やあ、青帽子くんに緑帽子くん!」

青帽子の妖精
「やあ!元気かい?オレンジ帽子くん」

緑帽子の妖精
「久しぶりだね。オレンジ帽子くん」

オレンジ帽子の妖精
「こう忙しいとなかなか会えないね、二人とも。ところで、今日は二人に相談があるんだけどーー」

青色帽子の妖精
「相談って、何だい?」

 そこでオレンジ帽子の妖精は、二人に白帽子の妖精の話をしました。

緑帽子の妖精
「じゃあ今日、白帽子さんもここに来るんだね?」

青帽子の妖精
「おや!あれは白帽子さんじゃない?」

 その声に二人が振り返ると、ちょうど白帽子の妖精もこちらに気づいて片手を挙げ、合図を送りました。
 
 白帽子の妖精
「ごきげんよう!皆さん」

緑帽子の妖精
「長く風邪をひいて休んでいたんだってね。大変だったね・・・。冬用の食糧集めは僕らも手伝うから、安心して!」

 白帽子の妖精
「ありがとう!緑帽子さん。そう言って下さると本当に嬉しいわ」

青帽子の妖精
「ところで、白帽子さん。きみたちの組は、今年のハロウィンにはどんな準備をすることになっているの?僕らの組は”開かずの門”の見張り役をすることになっているんだけど」

 白帽子の妖精
「わたしたちの組はいつも、精霊たちをお迎えするための食卓づくりをすることになっているのよ」

青帽子の妖精
「へえ・・・。白帽子さんの帽子からは、精霊たちが食べる特別な食物が出て来るっていう話を聞いたことがあるけど、あれは本当だったんだね」

 白帽子の妖精
「ええ、そうよ。精霊たちはわたしたちが食べるものは召し上がらないの。だから、わたしたちが互いの白帽子をもちよってご馳走を準備するのよ」

オレンジ帽子の妖精
「心の清らかな白帽子さんたちにしかできないことだね・・・。ハロウィンには魔物もたくさん現れるけれど、貴い精霊たちもたくさん”開かずの門”をくぐって来られるからね」

青帽子の妖精
「そういえば人間たちもハロウィンの準備をしているようだね」

白帽子の妖精
「そうね。でも彼らは、精霊たちが何をしにこちらへやって来るかは知らないみたい」

緑帽子の妖精
「確かに知らないみたいだね。知っていたら自然を破壊したりはしないものーー」

青帽子の妖精
「確かに人間は無知なところがあるね。でも、最近は少しずつ自然を大切にしようという気持ちを持ち始めたみたいだよ」

 白帽子の妖精
「わたしもそう思うわ。ハロウィンに訪れる精霊たちが、どうぞ人間たちの盲目になった心を開いてくださいますように!」

 それから妖精たちは、口々にハロウィンの思い出話に花を咲かせました。そしてそれは、集会が始まる直前までいつまでも続いたのです・・・。

詩人の小部屋3回目の今日は、イギリスのヴィクトリア朝時代を代表する詩人アルフレッド・テニスンをご紹介したいと思います。
数ある彼の詩の中から今回取り上げるのは、テニスンが桂冠詩人に任命された年に刊行された挽歌「イン・メモリアム」。この詩は大変長文のため、やむなく個人的にとりわけ印象深く感じられた一節のみを抜粋して、ご紹介させていただこうと思います。とはいえ、この詩のいずれの箇所も非常に素晴らしく、もし機会があれば、是非とも皆様には全文を読んでいただきたいと切に願っております。
悲しみの淵に立ちながら、それでもなお心に希望の灯をともす、彼の魂の詩をどうぞご堪能ください。  


 『イン・メモリアム』より

      Ⅶ

暗き家よ、私はまたしてもひとり佇(た)つ、
この陰惨な長い街並みのこの家に。
扉よ、ここではわが胸はいつも
動悸を打ちながら、友の手を待っていた。

その手はもはや握ることはできないーー
見よ、私は眠れぬままに
罪を犯した罪人のごとく
明けきらぬ暁、この扉に忍び寄る。

友はすでにこの世になく、はるか彼方で
生活のどよめきは再び始まる。
そぼ降る小糠(こぬか)雨のなか、物の怪のごとく
人影もなき街に侘しい一日が明けてゆく。

       Ⅺ

静けき朝(あした)、物音もなく
更に静かなる悲しみに相応しい静けさ、
わくら歯のあいだを縫ってぽとぽとと
聞こえるはただ栗の実の地面に落つる音。

静けさと深き安らぎのゆきわたるは、この小高い丘の上、
ハリエニシダを濡らすこの露の上、
そして蜘蛛の巣の、
緑と金の光を放つ銀糸の上。

静けさと静かなる光のゆきわたるは、彼方の大平原、
はるばると散らばる秋の日の四阿(あずまや)、
群がり寄り合う農家の家、小さく見える遠い塔、
果てを限るあの大海原。

静けさと深き安らぎのゆきわたるは、この広い大空、
紅葉して散りゆく木の葉、
そしてわが胸にもこの静けさがあるならば、
もしあるならば、それは静かなる諦め。

静けさと大海原には銀(しろがね)の眠り、
波は揺りかごを揺すって眠り、
あの友の気高き胸には死者の静けさ、
高まる波とのみ高まる胸に。


 人魚はためつすがめつユノーの顔色をうかがい思案していたが、しびれをきらしたスミスが威嚇するように唸り声を上げた途端にひるみ、諦め顔に「分かりました・・・」と承知した。
「けれど神秘の谷へ行くには、いったん川から上がり森を抜けなければなりません。わたしは陸へ上がることはできませんから川岸までしかご案内できませんが、それでよろしいですね?」
 刺すような視線をレグルスに向けながら、人魚は意味ありげにそう念を押した。
「心配は要らない。神秘の谷への道順なら心得ているからね。こう見えて、おまえよりは余程わしのほうがもの知りなのさ!」
 ユノーはせせら笑うような口調で人魚をいなし、スミスの鋭い爪を指差して言い足した。
「それに神秘の谷に住むもののけを恐れぬ、頼もしい仲間もいるのでね」
 人魚は憮然とした顔で、肩をすくめてみせた。そして体をねじるように跳びはねたかとと思うと、あっという間に、さきほどの大きな鮒の姿へと変わったのである。ユノーはスミスの頭の毛を両腕でしっかりとつかむと、左右の毛を交互に引っ張りながら、スミスに何やら合図を送った。スミスはそれに答えるように一声大声を上げると、大鮒の背びれを抱きかかえるようにして跨った。続いてユノーは、鮒の鱗に爪をかけながら、懸命によじ登ろうとしているレグルスに声をかけた。
「レグルス!スミスの尻尾をしっかり噛んで離さないようにするんだ。スミスの体はとても固いから、きみが噛んだぐらいではちっとも痛くなんかないからね。それより川の急流で大鮒から落ちて流されないよう、しっかりつかまっているんだよ!」
 こうしてスミスの頭に乗ったユノーと、スミスの尻尾に噛みつきつつ鱗に爪をたてて取りついているレグルスを背に、大鮒は2、3度川岸で跳ねて弾みをつけると、勢いよく川の中へと跳び込んだのであった。

 やがて水面まで上昇し、レグルスたちが水上に顔を出せるくらいの深さを維持して泳ぎ出した大鮒は、川の中央まできたあたりでユノーに声をかけた。
「神秘の谷へ行くには、向こうの洞窟を抜けていくのが早いのですが、かなりの急流ですし、水面に浮かびながら泳ぎ続けることは難しいかもしれません。どうしますか?」
「構わないよ。洞窟を抜けて行ってくれ」
なんの躊躇いもなく、ユノーはそう答えた。けれどもレグルスは内心不安に駈られた。ずっと息を止めていられるかしら?そう思うと心配でならない。こうしている間に、驚くほどの早さで泳いでいく大鮒は洞窟に着いてしまうだろう。レグルスは少しの間くわえていたスミスの尻尾を離し、ユノーに語りかけた。
「ねえ、ユノー。僕、水の中でずっと息を止めていられるか心配だよ。ずっと洞窟を抜けるまで辛抱できるかな・・・?」
 するとユノーは、まるで頓着していない様子で言った。
「大丈夫だよ。スミスにつかまってさえいれば息は苦しくならない。きみがスミスの尻尾に噛みついてさえいれば、水の中にいてもちっとも苦しくはならないんだよ」
 レグルスは驚いて聞き返した。
「え!どうして苦しくならないの?」
 するとユノーは、いたって平静な声で答えた。
「スミスはもののけの仲間なんだよ。だから一緒にいさえすれば、不思議な力がきみにも備わるんだ・・・」
 ユノーの言葉の意味は、その後すぐにレグルスにも分かった。それは彼らの行く手に、川の流れを阻むようにそびえ立つ絶壁を望んだときのことである。絶壁に近づくにつれ、その崖の下にわずかに口を開いている洞窟があるのが見てとれた。これが大鮒の言っていた洞窟か?とレグルスが見入っていると、にわかにスミスの体が淡い光を帯び始めたのである。それは暗闇に住むもののけが放つとされる青白い光であることを、レグルスは悟った。その時だった。
 ザブーン!
 いきなり大鮒は、しぶきを上げながら水中深くへと潜っていった。レグルスは驚いて目を閉じ息を止めた。しかしすぐに苦しくなって目を開けると、大鮒が洞窟の方へと急いで行くのが分かる。もうこれまでーー。苦しさに堪えきれず、ついにレグルスは口を開いた。ところが、不思議なことに息が苦しくない。確かに口のなかにどんどん水が入ってきているのに、ちっとも苦しくならないのだ。驚いてユノーを見ると、彼もこちらを見下ろしてしきりに手を振っている。ユノーが言っていたのは本当だったのだ。スミスのもつ不思議な力が、ユノーやレグルスにも備わっていたのである。

 

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