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約束の日が来た。
パパの運転する車に乗った真子たち一行は、「ペット祭り」の会場となる市立中央公園へと向かって出発した。もちろん、明お兄ちゃんも一緒である。
この日は朝から素晴らしい晴天に恵まれ、会場は大勢のペット連れで賑わっていた。助手席のママに抱っこされていた真子は、車の窓ガラスに鼻をつけて外を眺め、嬉しそうにはしゃぎ声を上げた。車が公園の敷地内に入った辺りから、通路のあちらこちらに愛犬連れの家族の姿がいくつも見える。さらに駐車場に着くと、停車している車の中からも次々にワンちゃんたちが降りて来る姿が見えた。
「わあ~、ワンちゃんがいっぱい!」
これだけのワンちゃん連れが集まるのを、真子はこれまで見たことがなかった。それは明お兄ちゃんも同様だったらしく、「結構集まってるねぇ。凄いなあ」としきりに感心していた。
そうやって明お兄ちゃんと真子が珍しげに周囲のワンちゃん連れに見とれている間、パパとママはさっさと会場入口で入場券を購入して戻って来た。
そしてパパは、入場券と一緒に渡された会場案内図を眺めながら、「まずは会場を1周してみて、それから見ていく順番を決めることにしよう」と言った。この提案にママと明お兄ちゃんもすんなり同意し、真子たちは会場の入り口に近い順に、行われているイベントを見物して回ることにした。
広い会場にはいろんなコーナーが設けられていた。
アジリティ競技にも参加しているワンちゃんたちのスピード感あふれるショー。それぞれ趣向を凝らした衣装を着て上手にダンスをするワンちゃん。その他参加型のイベントなどもたくさんあった。例えばアジリティが初めてのワンちゃんばかりを集めて、遊び方をパパやママも参加して学ぶというコーナーなんかもあった。真子はアジリティを使って遊んだことがなかったので、これには興味しんしん。
そして会場には、わんちゃんグッズを取り扱うお店もいっぱい軒を並べていた。パパや明お兄ちゃんが参加型イベントを熱心に見ている傍で、ママは「真子に似合いそうな洋服はあるかしら?」などと言いながら、ちらちら店先をのぞいていた。
そうやってしばらく歩くうち、ふとママが前を歩く一組の家族に目を止め声をかけた。
「あら・・・、山田さん?」
ママの声に真子が顔を上げると、こちらを振り向いたのは見覚えのある親子連れと、見たことのない一匹のコーギーだった。
山田さんと言うのは近所に住む小学生の男の子のいるお宅で、真子も何度かお散歩の途中で顔を合わせたことがある。小学4年生になる男の子が真子に興味を持っていて、出くわすといつもかがんで頭を撫でてくれた。その山田さんが、知らぬ間にコーギーを飼っていたらしく、ペット祭りに来ていたのだった。
ママは山田さんの連れているコーギーが、番号札のついたバンダナを巻いているのを見て、驚いて話しかけた。
「一発芸に参加するの?なになに・・・優秀なワンちゃんは、タレントデビューの可能性ありですって!」
イベント会場で配られていたチラシを読んでママが甲高い声で言うと、山田さんは照れ臭そうな声で応えた。
「うちの子はタレントデビューなんて無理無理!ただ、ちょっとだけ普段教えた芸を披露してみようかなって思っただけなのよ」
ママはパパと明お兄ちゃんを呼び止めて、山田さんのワンちゃんが参加する一発芸のイベント会場から見物しようと言い出した。

真子は舞台の上で、ピストルに撃たれて死んだふりをしたり、ハイタッチをしたりして芸をするコーギーを見てママに話しかけた。
「ねえ、ママ。真子にもできるよ、あれくらい」
けれどママは、首を横に振って言った。
「ママ、真子ちゃんには舞台に立ってもらいたくないの。のんびり家族で過ごす今の暮らしがとっても大切だから・・・。もし真子ちゃんがタレント犬になったら、忙しくて一緒にいられる時間はとっても少なくなってしまうのよ」
それを聞くと、真子も納得したように応えた。
「真子ずっとママのそばにいたい。いつでもママと一緒がいい。だからタレント犬にはなりたくないな・・・」


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