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 秋から冬へと季節が廻り、妖精たちにとって1年で最も忙しい時期が到来しました。
 冬が来る前のこの時期。果実を好んで食する妖精たちは、冬の間の食糧も貯えておくため、毎日野山を駆け回ります。けれどもようやく果実の収穫を終えたと思う頃には、今度は「ハロウィン」という1年で最も大きなお祭りが待っているのです。そのため妖精たちは、忙しい合間をぬってたびたびハロウィン集会にも出席しなくてはなりません。
 ですから普段はのんびりと日々を過ごしている妖精たちも、この時ばかりは、皆目の回るほどの忙しさになるのでした。
 そんなある日の午後のことです。冷たい北風が吹き抜ける山裾の林の中で、偶然行き会ったオレンジ帽子の妖精と白帽子の妖精が立ち話を始めました。

オレンジ帽子の妖精
 「こんにちは、白帽子さん。今年の収穫の方はどう?もう冬用の食糧は集まったかい?」

 白帽子の妖精
「こんにちは、オレンジ帽子さん。それが、ついこの間まで風邪をこじらせて長く寝込んでいたものだから、まだ十分な量が集まっていないの・・・。もうじきハロウィンだというのに、このままだと皆さんのお手伝いができなくなるんじゃないかと心配してるところなのよ」

オレンジ帽子の妖精
「それは困ったね・・・。僕もまだあまり集まってはいないんだけど。だったら、青帽子さんや緑帽子さんたちにも声をかけて、皆で協力して食糧集めをしたらどうだろう?」

 白帽子の妖精
「本当に!そうしてもらえたら、とても助かるわ。でも皆忙しく出歩いているから、見つけるのは大変そうね・・・」

オレンジ帽子の妖精
「それがね。ちょうど明日ハロウィンの集会で集まることになっているんだよ。だから、白帽子さんも一緒にその集会に出席したらいいよ」

 白帽子の妖精
「まあ、それは良かったわ!ええ、もちろん出席します。ではまた明日、ごきげんよう・・・」

 白帽子の妖精は嬉しそうにそう言ってオレンジ帽子の妖精にお辞儀をすると、忙しげな足取りで林の奥へと去って行きました。
 さて、その翌日。ハロウィンの集会に集まってきた妖精たちの中に、仲の良い青帽子、緑帽子の姿を見つけたオレンジ帽子の妖精は急ぎ足で二人に近寄り声をかけました。

オレンジ帽子の妖精
「やあ、青帽子くんに緑帽子くん!」

青帽子の妖精
「やあ!元気かい?オレンジ帽子くん」

緑帽子の妖精
「久しぶりだね。オレンジ帽子くん」

オレンジ帽子の妖精
「こう忙しいとなかなか会えないね、二人とも。ところで、今日は二人に相談があるんだけどーー」

青色帽子の妖精
「相談って、何だい?」

 そこでオレンジ帽子の妖精は、二人に白帽子の妖精の話をしました。

緑帽子の妖精
「じゃあ今日、白帽子さんもここに来るんだね?」

青帽子の妖精
「おや!あれは白帽子さんじゃない?」

 その声に二人が振り返ると、ちょうど白帽子の妖精もこちらに気づいて片手を挙げ、合図を送りました。
 
 白帽子の妖精
「ごきげんよう!皆さん」

緑帽子の妖精
「長く風邪をひいて休んでいたんだってね。大変だったね・・・。冬用の食糧集めは僕らも手伝うから、安心して!」

 白帽子の妖精
「ありがとう!緑帽子さん。そう言って下さると本当に嬉しいわ」

青帽子の妖精
「ところで、白帽子さん。きみたちの組は、今年のハロウィンにはどんな準備をすることになっているの?僕らの組は”開かずの門”の見張り役をすることになっているんだけど」

 白帽子の妖精
「わたしたちの組はいつも、精霊たちをお迎えするための食卓づくりをすることになっているのよ」

青帽子の妖精
「へえ・・・。白帽子さんの帽子からは、精霊たちが食べる特別な食物が出て来るっていう話を聞いたことがあるけど、あれは本当だったんだね」

 白帽子の妖精
「ええ、そうよ。精霊たちはわたしたちが食べるものは召し上がらないの。だから、わたしたちが互いの白帽子をもちよってご馳走を準備するのよ」

オレンジ帽子の妖精
「心の清らかな白帽子さんたちにしかできないことだね・・・。ハロウィンには魔物もたくさん現れるけれど、貴い精霊たちもたくさん”開かずの門”をくぐって来られるからね」

青帽子の妖精
「そういえば人間たちもハロウィンの準備をしているようだね」

白帽子の妖精
「そうね。でも彼らは、精霊たちが何をしにこちらへやって来るかは知らないみたい」

緑帽子の妖精
「確かに知らないみたいだね。知っていたら自然を破壊したりはしないものーー」

青帽子の妖精
「確かに人間は無知なところがあるね。でも、最近は少しずつ自然を大切にしようという気持ちを持ち始めたみたいだよ」

 白帽子の妖精
「わたしもそう思うわ。ハロウィンに訪れる精霊たちが、どうぞ人間たちの盲目になった心を開いてくださいますように!」

 それから妖精たちは、口々にハロウィンの思い出話に花を咲かせました。そしてそれは、集会が始まる直前までいつまでも続いたのです・・・。

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詩人の小部屋3回目の今日は、イギリスのヴィクトリア朝時代を代表する詩人アルフレッド・テニスンをご紹介したいと思います。
数ある彼の詩の中から今回取り上げるのは、テニスンが桂冠詩人に任命された年に刊行された挽歌「イン・メモリアム」。この詩は大変長文のため、やむなく個人的にとりわけ印象深く感じられた一節のみを抜粋して、ご紹介させていただこうと思います。とはいえ、この詩のいずれの箇所も非常に素晴らしく、もし機会があれば、是非とも皆様には全文を読んでいただきたいと切に願っております。
悲しみの淵に立ちながら、それでもなお心に希望の灯をともす、彼の魂の詩をどうぞご堪能ください。  


 『イン・メモリアム』より

      Ⅶ

暗き家よ、私はまたしてもひとり佇(た)つ、
この陰惨な長い街並みのこの家に。
扉よ、ここではわが胸はいつも
動悸を打ちながら、友の手を待っていた。

その手はもはや握ることはできないーー
見よ、私は眠れぬままに
罪を犯した罪人のごとく
明けきらぬ暁、この扉に忍び寄る。

友はすでにこの世になく、はるか彼方で
生活のどよめきは再び始まる。
そぼ降る小糠(こぬか)雨のなか、物の怪のごとく
人影もなき街に侘しい一日が明けてゆく。

       Ⅺ

静けき朝(あした)、物音もなく
更に静かなる悲しみに相応しい静けさ、
わくら歯のあいだを縫ってぽとぽとと
聞こえるはただ栗の実の地面に落つる音。

静けさと深き安らぎのゆきわたるは、この小高い丘の上、
ハリエニシダを濡らすこの露の上、
そして蜘蛛の巣の、
緑と金の光を放つ銀糸の上。

静けさと静かなる光のゆきわたるは、彼方の大平原、
はるばると散らばる秋の日の四阿(あずまや)、
群がり寄り合う農家の家、小さく見える遠い塔、
果てを限るあの大海原。

静けさと深き安らぎのゆきわたるは、この広い大空、
紅葉して散りゆく木の葉、
そしてわが胸にもこの静けさがあるならば、
もしあるならば、それは静かなる諦め。

静けさと大海原には銀(しろがね)の眠り、
波は揺りかごを揺すって眠り、
あの友の気高き胸には死者の静けさ、
高まる波とのみ高まる胸に。


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