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道がすいていたこともあり、宿に着いたのは午後4時過ぎ。ほぼ予定通りの時刻だ。
ただ日中は陽差しも出ていたが、この頃になるとまた灰色がかった厚い雲がすっかり空を覆っていた。宿の駐車場に車を止め後部座席の荷物をおろしていると、まずいことにぽつぽつと雨が降り出した。今夜打ち上げられる洞爺湖の花火を心待ちにしていたわたしの胸に不安がよぎる。
チェックインを終えると、部屋係の男性が先に立って館内を案内してまわった。部屋まで案内されたところで、雨でも花火は打ち上げられるのかと訊ねてみる。すると雨でも花火は上がりますとの返事。それならばとひとまず胸をなでおろす。
夕食の時刻まで少し間があるので、それまで愛犬を連れて宿の周辺を散歩することに。
この宿は洞爺湖畔に位置しており、桟橋までは数分の距離だ。傘をさして宿を出ると、すぐ前の道路がゆるやかにカーブした坂道になっており、そこを下りて行って桟橋まで行き、そこからは気の向くまま湖に沿って南の方角へと歩いていった。ところが時間が経つにつれ雨がしだいに強まってきた、愛犬にはレインコートを着せてあったが、あまり雨足が強まると頭や尻尾がずぶぬれになりあんばいが悪い。仕方なく散歩を止め宿へと引き返すことに。
部屋に戻り、愛犬の濡れた体を吸水性の好いタオルで十分拭き取る。部屋が畳敷きなので、濡らしてはまずかろうとこちらも気をつかう。
やがて夕食が部屋に運ばれて来る頃になると、外はどしゃぶりになっていた。だが、花火を見るには桟橋まで出向いた方が眺めは良い。そうなると、ずぶぬれになってしまう相棒を部屋に置いていったものかどうかと頭を悩ます。
 夕食もすみ、部屋のテレビを見て時間をつぶすうち花火の始まる時刻となった。窓を開けて外の様子をうかがうと、幸い雨はほとんどこやみになっていた。この程度なら愛犬を連れていっても問題なさそうだ。ふたたび外出の支度をし、相棒に首輪とリードをつけてやると、彼女は嬉しそうに声を上げ、くるくると何度も部屋を走り回った。

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ドーン!ヒュルヒュルヒュル~!
次々と打ち上げられる夜空を彩る大輪の花火たち。辺りに響き渡る轟音に、さしもの相棒も度肝をぬかれたか、吠える気力も失せた様子。神妙な顔つきで尻尾を丸め、しがみつくように足元にすり寄って来る。わたしは傘を閉じて彼女を抱き上げ、体を撫でてやりながら美しい夜空の祭典に酔いしれた。

翌朝宿をあとにすると、昨夜花火を眺めたあの洞爺湖を、今度は船上から楽しもうと遊覧船に乗り込んだ。
汗ばむほどのお天気に恵まれた遊覧船のデッキで、洞爺湖の中央に浮かぶ丸みを帯びた3つの島を眺める。
洞爺湖はこれだけ北に位置しながら、1年を通して凍ることがないという。先住民族アイヌの伝説を船内放送で聞きながら、古(いにしえ)のアイヌの人々の目には、この雄大な湖がどのように映ったのだろうかとしばし思いを馳せる。

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船を降りると、次の目的地である函館へと車を走らせた。
移動に時間がかかるため、昼食はサービスエリアですまそうと街のレストランには寄らず迷わずす高速に。しかしこれが失敗だった。昼間近になってサービスエリアを探すもあるのはパーキングエリアばかり。試しに2回ほどパーキングエリアに立ち寄ってみたが、あるのはトイレと自動販売機のみで食事処はおろかコンビニ程度の店もない。
焦って道路地図を見ると、函館までのルートにはサービスエリアがないことが分かった。やむなくいったん高速を降り、近くのコンビニでサンドイッチやおにぎりといった軽食を買い込み車中で食べることに。
首都圏近郊の高速道路とは勝手が違うことを知り、事前に調べておかなかったことをつくづく後悔する。

函館へ着くと、まっさきに五稜郭へと向かい愛犬とともに敷地内を1周。
五稜郭内は函館市民の憩いの場だそうで、花見の季節にはここでジンギスカン料理を食し酒宴に興じるのだそうだ。有名な観光地でありながら、ペットの散歩を認めるおおらかさに愛犬家としてはおおいに感謝の念に堪えない。
周囲を濠で囲まれた五稜郭を、入場前に撮影しようとカメラをのぞくと、またも空にうっすらと虹の姿がーー。晴れたかと思えばすぐに曇り小雨が降るーーそんな不安定な天候がこの日も続いていた。
五稜郭に入場すると、最近建てられたという真新しい函館奉行所の建物がひときわ目を引いていた。この奉行所はもともと函館山の中腹に建てられ、湾を行き来する船を監視する役目を担っていたもので、それを五稜郭内に再現したらしい。(現在、函館奉行所の跡地は更地になっている)


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五稜郭で愛犬の運動をかねた散歩をすませ、今夜彼女を預ける予定のペットホテルへと向かう。
せっかくの函館の夜。ぞんぶんに海の幸を楽しむため、悪いが愛犬とは宿を別にすることにしたのだ。
彼女をペットホテルに預け、宿泊するホテルにチェックイン。フロントでお薦めのすし屋を訊ねてみると、すぐにカウンター下から周囲の食事処が網羅されたリストを取り出し、2軒ほど丸をつけて場所も詳しく説明してくれた。
あらかじめお目当ての店を調べていたわけでもなかったので、その店のうちの1軒に行ってみることにする。

旬の海の幸に舌鼓をうち、酒の酔いもまわったところで、すし屋の主に函館の見どころについて訊ねた。
すると、「そりゃあ、函館山ですねぇ。函館の夜景は見事ですよ!」との返事。
そういえば、函館の夜景を見る計画をたてていなかった!
明日は夜景を見る時間はないため、急きょ店を出て函館山に登ることに。すると店の主が気をきかせ、店の馴染みのタクシーを呼んでくれるという。おかげで函館の夜景を見た後に、タクシーの運転手がライトアップされた函館の名所をながしながら観光案内までしてくれた。ホテルに着いた時、料金を聞いて良心的な値段にちょっとびっくり。
これもすし屋の主が、運転手に「安くしといてよ!」と口添えしてくれたおかげだろう。
残念ながら、食事をとるだけのつもりで出かけたため、函館の夜景も街の観光名所も写真に収めることはできず・・・。写真は、かつて青函連絡船として活躍していた摩周丸。せめてもの記念にと、ホテルの部屋から撮影したものだ。
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