上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  •   --, -- --:--
天蓋にかけられた浅黄色の垂れ幕が、窓から差し込む陽射しに透けて、まどろむ王の青白い顔色を心もち明るく照らした。

床についてから、もう数か月が経つ。

休むことを知らなかった頑強な身体も、老いたる身となり病に侵されてからは、肉は削げ落ち、骨が浮き出て、四肢も思うように動かせぬ有様。

戦場を軍神のごとく駆け抜けた日々はいずこと、懐かしむ日々を重ねるうち、心もすっかり弱り果て・・・・・。

ユーカスは、生き恥をさらすような己の姿を顧て、大きくため息をついた。

(せめて、死ぬまでに神に許しを乞い、己の犯した罪のつぐないをしたい・・・・・・)

しかし、王として国政に混乱をきたすような行いは自重せねばならない。

まして王妃は、先王の娘・・・・・。
己の息子が王位に就くことを信じて疑わず、その行く末を案じて既に動きを見せていることにも薄々勘づいていた。

親子ほども年の離れた先王の娘を妻に娶ることになった時、罪の大きさに恐れを抱かなかったわけではない。それでも王座を前にして、いかなる大罪も厭わぬ覚悟であった。

もしも今、自分の夫が名を偽り王位に就いた者と知ったなら、王妃の屈辱はいかばかりであろう。
そのうえ、自分の息子ではなく、別な者が王に相応しいと選ばれたなら、憤怒の矛先はどこに向けられるであろうか?

王妃の憎しみが自分に向けられるのであれば、無論、罪のつぐないとして受け入れよう。
しかし、新たなる王位についての言及であったなら、受け入れることはできない。

神聖な事柄を穢す行為が、どれほど大きな代償を払うことになるかは、これまでの人生で嫌というほど味わった。
同じ罪を犯すつもりはもうない。
たとえ我が妻や息子の憎しみをかうことになろうとも、次の王は神の示される王をたてるのが余の務め。

しかし・・・、キング・ユーカスの心は暗澹とした。
死んで後、偽りの王として揶揄され、不名誉のまま民に忘れ去られることになったなら。
これまで自分が築き上げてきたものが、全て汚辱にみちたものと打ち捨てられることがあったなら。

それは、あまりにも虚しい。
己の生死をかけ、戦い守ってきたこの国への忠誠心までが、不浄なものと扱われることは耐えがたい屈辱である。

彼は迷った。
高潔な決意も、ともすれば打ち砕かれ・・・・
浅ましいとは思っても、揺れ動く心は抑えることができない。

深い闇の縁に立ち、道を探しあぐねる彷徨い人のように
王は己に問い続けていた。

と、その時ふと静寂が絶たれた。

「王様、カムル族長がおみえになっています。御身内に婚儀がまとまり謁見を申し出ておられますがー 」

侍女の声に、たちまち闇から引き戻され、キング・ユーカスは目を開けた。

「おぉ、カムルか・・・。 構わぬ、通すがよい! 」

すぐに、カムルとトワンヌが王の寝所へと通された。
大理石の床に靴音を響かせながら二人が部屋に入って行くと、王は枕を背もたれにして両手を広げ、明るい笑顔で出迎えた。

「キング・ユーカス!」

 王の顔を見るや、カムルはそう叫んで床に跪き、寝台の主君に向かい深々と頭を垂れた。

「あまりに顔を見せぬゆえ、もしや死んでしまったのではないかと思っていたぞ!」

そう言って快活な声で笑う王に、カムルも返すような大声で笑った。

「そうあっさり死ぬわけにはまいりませぬ。王がわたくしめを戦場におつかわし下されば、このカムル、老骨に鞭打っても馬を駆り、敵の首をを打ち取って見せましょう! 」

「それは、心強い。カムルが先陣をきれば、敵兵も恐れて後じさりするというもの。鬼神の異名を取るそなたの形相には、いかに勇猛な軍馬も怯えて立ち上がり、主を振り落として逃げ去るに違いないからな」

カムルは苦笑して問うた。

「王よ・・・、わたしはそれほど恐ろしい顔をしておりますか?」

頭に手を当て、情けない表情を浮かべるカムルに、ユーカスも声を和らげた。
 
「すまぬ、ちとからかい過ぎたようだ。ところで、今日は祝い事の報告があると聞いておるが、そこにおるのはそなたの娘か?」

「はい。娘のトワンヌでございます。このたび嫁に迎えたいという者がおり、王にお許しをいただきたくまかりこしました」

カムルは後に控えていたトワンヌを手招きすると、王の近くへ進み出るように言い、その足元にかしづかせた。

ユーカスは見惚れるようにトワンヌを眺めて言った。

「そうか。相手の男は幸せ者だな・・・。これほどの美人は、国中を見回してもそうはおるまい」

「トワンヌ、嫁入りを許そう。夫と幸せな家庭を築くがよいぞ」
 
 トワンヌはこの時、自分の頭に置かれた王の手の温もりを感じ、一人感激に震えていた。

威厳のある風貌、精悍さを感じさせる張りのある声、そして何よりも人を魅了してやまない、その豊かな表情。
老いや病といったものを微塵も感じさせない王の堂々たる態度に、王の権威とはかくも覇気に満ちたものなのかと、深く感じ入っていた。

(誰もが、王になりたいと願うはずだわ・・・・・)

王のもとを辞し、王宮の柱廊を父とともに歩いて行きながらも、トワンヌは新たなる王へと思いを馳せずにはいられなかった。
そうして彼女に話しかける父の声にも、つい気づかずにいたため、業を煮やしたカムルがいきなり声を上げた。

「トワンヌ! 聞いているのか? 」

びくりとして振り向いた娘に、カムルが厳しい眼差しを向ける。

「これから王妃様のもとへうかがう。王は床につかれていたため、輿には乗らずに謁見したが、王妃様の前に進み出る時は輿に乗るのがしきたりだ。王妃様がお呼びになるまで、お前は輿に乗って前庭でお待ちしていなさい。良いな」

トワンヌは静かにうなずき、庭先に立ちこちらを見ているイヨンの方へと歩いて行った。

          

「これはカムル。久しぶりですね」

シーラは、部屋の入り口で剣を胸に押し当て、深く頭を垂れる老いた戦士に向かい声をかけた。

「シーラ王妃様、このたびは娘の結婚をお許しいただき、誠にありがとうございます」
 
カムルはやや声をうわずらせ、神妙な面持ちでシーラ王妃の方へと進み出た。

「他ならぬカムル族長の御身内のことですもの。当然ですわ! 」

言葉とは裏腹に棘のある声音に、カムルの表情が曇る。




スポンサーサイト
久しぶりに日記など・・・(^^)

実は今日、ふと思い立って文房具を買いに出かけたのですが、売り場の上の棚に「3年日記」というものがあるのを見つけ、つい買ってしまいましたっ(´艸`*)

以前から、3年日記とか5年日記とかに興味はあったのですが、それなりにお値段するし、なかなか買うまでに至らず・・・
でも今日は、たまたま誕生日が近いということもあり、

そうだ!誕生日から始めれば、きりもいいし、3年ぐらい続くかも?
などど、意味不明な事を考えつつ、ついに手に取った次第です(-_-;)

大丈夫かな・・・ちゃんと続くかな・・・などといまだに不安というか、後悔というか・・・・

あれって、毎日書かないと空白のページを作ってしまう形式なんですよね(実はよく知らずに買ってしまった( ;∀;))

誕生日までまだ日があるから、できれば万年筆も買い揃えたいなぁ、なんて・・・ハードル上がること考えたり。

一度清書してから書いた方が良いよね、間違ったら保存版だから嫌だし・・・なんて面倒な事を考えたり。

極めつけは、やはり、小説になるようなカッコイイ文章書き残したいよね・・・なんてことまで目論んだりして。

あ~あ、どうなることやら、心配です・・・(-_-)

ハジ「アトイ、何をしているの? 」

 朝の散歩から帰って来たハジは、部屋の物置の扉を開け、中からシューマの仕事道具を取り出しているアトイを見つけて訊ねました。

アトイ「星読みの準備だよ」

 急な星読みを頼まれて、今朝シューマが隣村に出かけて言ったことを、ハジは思い出しました。

ハジ「そうか、今日はシューマがいないものね。でもアトイはまだ子供だから、星読みを頼む人はいないかも知れないよ」

 最近、にわかに背が伸びてきたとはいえ、まだまだ幼顔のアトイです。

アトイ「そうかもね。でも、もし頼む人がいたら星読みしようと思ってね」

ハジ「一人で星読みできるの? 」

アトイ「星読みのやり方はシューマに教わったから大丈夫だよ。ただ相手の人が僕を信頼してくれないと、正しい答えを導き出すのは難しいんだ。だから頼む人次第だね」

ハジ「ふ~ん。そういうものなの・・・」
 
 この時、開け放たれた家の戸口から聖霊ラフィーが入って来て、ハジに手を上げ合図を送りました。

アトイ「ねえ、ハジ。シューマには内緒なんだけど、僕、市場でとっても綺麗な女の人に声をかけられたことがあるんだ」

ハジ「それで・・・?」

 ラフィーを横目で見ながら、ハジはアトイに相槌をうちました。

アトイ「その女の人がね。僕によく似た人を知っているって言うんだ。それで、生まれはどこかと訊ねられたんだけど、シューマに聞かなきゃ分からないって答えたんだ。そうしたら、その女の人、また僕に会いに来るって言ってたんだ・・・・・・ 」

興味津々の顔で、ラフィーは二人の会話に耳を傾けます。

ハジ「もしかして、それで市場に星読みに行くつもりなの?」

アトイ「もしかしたら、僕の本当のお父さんとお母さんを知っている人かもしれないでしょう?・・・・・・ 」

 これを聞いて、ラフィーが激しく首を振りました。

ハジ「でも、そんな大切な事、シューマに黙っていちゃ駄目だよ! 」

アトイ「・・・・・・」

ハジ「本当のお父さんやお母さんに会いたいって思っていることを、シューマに知られたくないんだね」

アトイ「うん・・・」
 
ハジ「シューマはアトイと僕のお父さんだよ。それは何があっても変わらない。そうでしょう? 」

 アトイが力強く肯きます。

ハジ「だったら話してもいいんじゃない。シューマはアトイの将来のことを考えて、遠いところまで旅に出かけたりするぐらいだもの。アトイにとって良い事だと思えば、頼まなくても本当の親探しをしてくれるかも知れないよ」

アトイ「そうかなあ・・・・・。シューマが悲しんだりしないかな?」

ハジ「いつまでも一緒にいることが、必ずしも本人のためになるとは限らないよ。シューマだって、きっとそう思っているからこそ、アトイを星読みにしようとは考えなかったんだよ」

アトイ「そうだね。今度シューマに話してみようかな、あの女の人に会った事・・・・・」

ハジ「うん。それがいいよ、きっと!」

ハジはそう言って、傍らで二人の会話を聞いていた聖霊ラフィーに目配せをしました。


「あら、どうしたの?」

翼はそう言って、道端にしゃがみこみました。
小さな真っ白な仔犬。迷子のようです。

「迷子になっちゃったの・・・」

仔犬は、今にも泣き出しそうな顔をしています。

「大丈夫。私がパパとママのところに連れて行ってあげるわ!」

翼はそう言って、仔犬を励ましました。
でもなぜか仔犬は悲しそうな表情のまま、道端にうずくまってしまいました。

奇妙に思い翼がたずねます。

「どうしたの?元気を出して、おうちの近くにどんなものがあったか思い出してみて。私がそこに連れて行ってあげるから。」

すると仔犬は寂しそうに首を振りました。

「パパもママもあたちが嫌いになっちゃったの・・・。だからあたちをここに置いていなくなっちゃったの」

仔犬はそう言って、大粒の涙をいくつもこぼしました。

翼は慌てて言いました。

「そんなことない!きっと今頃、ちびちゃんのことを心配して探していると思うわ。」

しょんぼりとした仔犬の姿に、翼の胸がしめつけられます。

(本当に、捨てられたのでなければ良いけど・・・)

翼の胸に不安がよぎりました。

そこへ一人の女の子が通りかかりました。
小学二年生ぐらいで赤いランドセルを背負っています。

「わあ!仔犬だ、可愛い~!」

女の子はそう言って、仔犬の頭を撫でようとしました。
でも仔犬は、突然頭の上に手が伸びて来たので怖くなり、唸り声をあげました。
女の子は驚いて手をひっこめます。

「可愛くなんかな~い!」

女の子は口をとがらせそう言うと、小走りに角の道を曲がり行ってしまいました。

仔犬はいよいよ悲しそうな声でクンクンと鳴き始めました。
女の子の言った言葉は分からなくても、何かひどい事を言われたというのは分かったのです。
翼はその様子を見て、ますます仔犬が不憫に思えてきました。

(もしかしたら、ちびちゃんは誰かに吠えたり、怖くて噛みついたりしてしまったのかも知れない・・・)

犬を良く理解していない人は、犬が怖くて吠えたり噛んだりするのだということを知りません。
ちびちゃんのパパやママがそれを知らない人だったら・・・、危険な犬だと判断して捨てようとするかも知れない。
でも、そんな悲しいことをちびちゃんに話したりはできません。

「ちびちゃん。パパとママは違う場所を探しているかも知れないから、一緒にわたしのうちへ行きましょう。そうして、ちびちゃんはここにいますってお知らせの張り紙をするの。そうすれば、パパとママがそれを見て、きっと迎えに来てくれるから」

翼がそう言うと、仔犬はようやく泣き止み、翼の足下にすり寄りました。

翼は仔犬を抱き上げ、ほおずりしました。

(神様、どうかこの仔犬のパパとママが、迎えに来てくれますように・・・)

決して、この子を捨てたのではありませんように・・・
翼は心から祈りました。
仔犬の小さな心が、壊れてしまわぬようにーー

そうして、翼が帰ろうとした時でした。
さっきの赤いランドセルの女の子が、角を曲がってこちらにやって来るのが見えました。大人の男女二人と一緒です。
女の子は翼を指差しながら、二人を見上げて何か話をしています。
すると、女の人の方がこちらへ向かって駆けだして来ました。

「ちびちゃん!」

その声を聞いて、仔犬は大きな声で叫びました。

「ママ!ママ~!」

仔犬は何度も何度も声を張り上げ叫びました。

女の人は翼たちのすぐ目の前まで来ると立ち止まり、じっと仔犬を見つめて言いました。

「ちびちゃん、ごめんね。ごめんね・・・」

女の人はそう言って涙を流しました。

そこへもう一人の男の人も近づいて来ました。

仔犬が叫びます。

「パパ!」

二人は仔犬のパパとママでした。

翼はほっと胸を撫で下ろします。

「良かったね、ちびちゃん」

すると仔犬は嬉しそうに言いました。

「パパ、ママ、大好き!」

今日はとても暖かい1日でしたね。

早くも、春一番が吹いた地域もあるとか。

というわけで・・・、テンプレートを春バージョンに変えてみました。

寒い冬が終われば、暖かい春がやって来る。

日本の四季って良いですね。

春を思えば気持ちも明るくなります。

いろいろあっても、希望が湧いてきます。

諦めずに・・・、信じて頑張ろうという気にもなれます。


3年日記を書き始めました。

2年後、3年後の自分を想像しながら書いたりして、なかなか面白いです。

自分を変える努力、始めてみようかな・・・なんて思うようになりました。

WHAT'S NEW?

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。