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精霊は、その深淵な光を放つ目で少年を見つめた。

よく日焼けした血色の良い顔。

やや小柄だが、敏捷そうな身のこなしといい、辺りへの目配りの鋭いところといい、獣を追う狩人のそれを思わせた。

「そなたは狩人か」

精霊の洞察力にはっとして、少年は畏敬の念で背の高い森の住人を見上げた。

「わたしはまだ、獣を狩ったことはございません。ただわたしの父は狩人で、これまで幾度も父の狩りに同行しております」

精霊は肯き、金色に光るローブの袖から一本の樫の杖を取り出し少年に手渡した。

「これはそなたの身を守る杖となる。常にこれを持っていなさい」

少年は樫の杖をうやうやしく捧げ持ち、精霊に深く頭をたれた。

「もったいないことです。このような貴重な宝をお授けいただくとは」

すると精霊は、少年の肩に手をおき、彼らの言語で何事かをつぶやいた。

「わたしはこれから、この地を治める領主レビアントの屋敷にいくつもりだ。そなたはわたしの従者としてついてくるがよい。わたしは人の姿となり、名を偽って屋敷に入るが、わたしの正体を決して誰にも話してはならぬぞ」

少年はややうわずったような声で応えた。

「もちろんでございます。口が裂けても決してあなたさまの正体を人に話したりはいたしません」

精霊は少年を見据え、念を押して言った。

「よいな。屋敷へ入ったら、必ずわたしの言う通りに振る舞うのだぞ」

精霊は少年を従え、ふたたびレビアント卿の屋敷へと向かって歩き始めた。

そのすぐ後について少年も歩き始めたが、一瞬、名残惜しそうに後ろを振り返り湖を眺めた。

しかし、もはやそこにあの妖精の姿はなかった。


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