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部屋の中央には、重厚な石造りの暖炉がすえられ、炎が煌々と燃え盛っている。。

その暖炉の前に置かれた安楽椅子に深く腰かけ、レビアント卿は老眼鏡ごしに書物を読み耽っていた。

白い顎鬚をたくわえた矍鑠たる英雄レビアント卿の傍らには、いかつい風貌の一頭の大きな犬がぴたりと足下に寄り添うように寝そべっている。

「兄上。少しよろしいですか」

突然声がしたことに反応し、卿の傍らにいた犬が咄嗟に頭を持ち上げ、一声大きく吠えた。

しかし部屋に入って来たのが主の弟ロディウスと分かると、犬は警戒をとき再び床に寝そべり目を閉じた。

「どうした」

レビアント卿は目を上げ、やや病み上がりな青白い顔をした弟を見つめた。

「困った事が起きました」

年の離れた弟ロディウスの声の震えに気づき、卿は眉をひそめた。

「うろたえるではない。騎士たちの間でもめ事でもあったのか?」

兄にたしなめられ、頬を紅潮させたロディウスは首を横にふった。

「武術大会に集まった騎士たちではなく、わたしの友人が決闘を申し込まれたのです」

レビアント卿はやや眉をつり上げ、興味深げに尋ねた。

「決闘をとな。それで申し込んだ相手はどんな男だ」

ロディウスが困惑の表情を浮かべる。

「それが、まだ少年なのです。友人が森で知り合った娘を辱めたという理由で決闘を申し込んできたのです」

レビアント卿は白髭を手でなぞりながら何事か考え込んでいたが、やがて冷淡な口調で言った。

「少年の申し立ては受け入れてやらねばなるまい。それで、そなたの友人はどこにいるのだ」

ロディウスは肩を落とし、不安げな声で言った。

「今は別邸の方へ行っております」

「ならば使いを送り、呼び戻すがよい」

兄の言葉に、ロディウスが懇願するように声を上げた。

「しかし、少年の言い分はどうも友人の話とは食い違っているようなのです。友人は娘にすげなくされたと、ひどく気落ちしていました。彼は娘を深く愛してしまったが故に苦しんでいるように見受けられたのです。それなのに娘の恨みをかい、決闘を申し込まれるなどと、どうにもわたしには腑に落ちぬのです」

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