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無言のまま背を向け、ロディウスは兄レビアント卿の居室を辞した。

武術大会は二日後。

審判であるサムウェルを立ち合い人として決闘を行うなら、明日中には友を呼び戻さねばならない。

ロディウスは別邸に滞在する友アレクにあてる手紙をしたためようと、一人自室に籠った。

しかし、筆を取るロディウスの胸に不安が渦巻く。

アレクは心優しい男だ。

決闘を申し出たあの少年を前にした時、彼がどれほど動揺するか、ロディウスには容易に想像できた。

少年時代からの親友である友の性分を、ロディウスは知り抜いていたのである。

アレクには、少年を手にかけることはできまい。

しかし、決闘の場でそれは許されぬ。

どちらかが倒れるまで、戦いは続けられるのだ。

そしてもう一つ、心配なことがあった。

森でアレクが恋に落ちたという娘のことである。

最後に会った時、アレクは少々自暴自棄になっているように見受けられた。

今回の決闘の理由が娘の恨みであると聞かされたときの、アレクの驚愕と悲嘆はいかばかりだろうか。

しかも決闘の相手は、まだ少年ときている。

友が自ら死を選ぶということも、ありえないことではない。

そう思うと、別邸から彼を呼び戻すことがひどく躊躇われた。

突然、ロディウスにある考えがひらめいた。

彼は筆をおくと大きく手をたたき、部屋の外にいる使用人を呼んだ。

扉をたたき部屋に入って来たのは、精霊と少年を赤ら顔の騎士に合わせた、あの年老いた使用人であった。


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