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風見鶏 5

 21, 2013 17:34
 真子はいつも不思議に思う。
(どうしてママは、いつもお寝坊なんだろう?)
 真子は大抵、パパが起き出す朝6時少し前にはもうとっくに目が覚めていて、(早く起きてくれないかなぁ・・・)とひたすら辛抱強く待っている。たとえ前日の夜や深夜に、ママが思いつきで布団から抜け出しパソコンに向かうようなことがあっても、(そんなときは、無論真子も目を覚ましてしばらく様子をうかがうのだが)朝寝坊するようなことは決してない。
 でもママは違う。
目覚まし時計が鳴り響き、溜息まじりにパパが会社に行く準備を始めても、ママはベッドの中で目を閉じたまま微動だにしない。でも真子は知っている。本当はママも、実は目が覚めているのだ。だってパパがトイレに行くと決まって、ママはそれを待っていたかのように寝返りを打つのだから。でもだからといって、真子がママを起こそうとママの顔や目を舐めようものなら、たちまち不機嫌そうな唸り声をあげて顔をそむけ、手で真子を振り払おうとする。
真子が「ママ~・・・」と悲しげな声を上げてみても、いっこうにお構いなし。まるで起きる気配はない。たまたま真子の声を聞きつけたパパが近寄ってきて、よしよしと頭を撫でてくれるのが関の山である。
(ママったら、パパが出かけるのにお見送りもしないのかしら?)といつも真子はパパを気の毒に思う。だから真子は、パパが出かける時は思いっきり尻尾を振り、元気な声で「いってらっしゃい!」と挨拶するようにしている。
 でもそんなママも、ときどき朝7時過ぎくらいに起き出すことがある。
「あ~あ、ごみ出ししなくっちゃ。朝8時までに出さなきゃならないなんて早すぎよねぇ~」なんて言いながら、しぶしぶ部屋のゴミを半透明な袋に集め始めるのだ。パパとママとの間には、ゴミ出しについての暗黙のルールがあって、生ゴミを含むゴミについては、パパは出さないことにしているらしかった。だから、生ゴミが溜まってくると、ママは決まった時間までに、ゴミ置き場までゴミを出しに行かなければならない。この日ばかりはお寝坊する訳にはいかないのだ。
 するとパパも真子も、その日は朝からなんだか気分が良い。自分で焼いたトーストをほおばりながら、お決まりの朝のテレビ番組を視るパパの横顔も、心なしか明るい表情になる。だから真子はタイミングを見計らって、食事のおこぼれを貰おうとパパにすり寄って行く。するとパパは、いつもよりちょっと多めに真子にパンを分けてくれるのだ。たちまち真子は、とってもハッピーな気持ちになる。そして、ついこんな事を考えたりもする。
「今日は、ママがお散歩に連れて行ってくれるかも!!」
 実際は朝早く起きたからといって、ママが散歩に連れて行ってくれるとは限らない。でも、そんな淡い期待が真子の胸に膨らんでしまうのだ。
 のっそりとベッドに腰かけながら、クローゼットから取り出した服に袖をとおすママを見上げながら、真子は尻尾を振りふり、お座りの姿勢をとって背筋を伸ばした。
「真子ちゃん・・・なんでお座りしてるの?」
 ふと足元でお座りしている真子の様子に気付き、ママが怪訝そうに言うと、パパは決まって振り返り、真子を見下ろしにっこりとする。パパには真子の気持ちが分かっているのだ。
 やがてママがゴミ袋を集め始める頃、パパも出かける時間になる。
「行ってくるよ!」
普段はしない朝の挨拶を、この時ばかりはパパもママにする。
するとママも、普段はしない挨拶を間延びした声でパパに返す。
「いってらっしゃ~い」
 そして真子も、いつもにまして大きな声でパパを送り出す。
「ワン!ワン!」
 けれどパパは、そんな真子を見つめながら心の中でこうつぶやくのだ。
(真子ちゃん・・・。ママがゴミ出しした後、また寝てしまわないといいね)
 
                                                imageCAZDNPHF チューリップ


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