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風見鶏 8

 24, 2013 23:53
 最近ママは、真子との散歩を午前中から夕方に(それも、じき暗くなるなぁって思う直前に)、変更するようになった。その理由は二つ。一つは朝より夕方の方が涼しくて気持ちが好いから。もう一つは、この時間の方が道を歩く人や自転車の数が少ないからである。
 真子はお散歩のときリードをつけて歩くが(それがわんちゃんを連れて歩く時のルールらしいから・・・)、実際はママは真子を引っ張ったりすることは滅多にない。それはママは真子とお話しができるので、リードを引かなくても言葉で注意することができるからだ。でも行きかう人や自転車が多いと、よそ見しながら歩きがちな真子は、ともするとぶつかりそうになって何度も危ない目にあいかけている。
「真子ちゃん。道路の電信柱や縁石についてる臭いが気になるのは分かるけど、ちゃんと前を見て歩かないと危ないわよ」
 ママは真子がぼんやりしているのを見ると、いつも困り顔でそう注意した。
 だがこのところ夕方散歩になってから、そんな注意を受ける機会も減ってきた。少々真子が道を横切ったりしても、人通りが少ないから平気なのだ。
 これは、そんなのんびり散歩をしていた昨日の出来事。ママは散歩の帰りに、いつものコースをちょっとはずれて、クリーニング屋に寄ることにした。衣替えの際に出したパパのスーツを受け取るためだそうだ。それで真子はママがお店に入っている間、店の前にある公衆電話のところで待つことになった。ここならリードをつなぐのに好都合なポールが立っていて、真子をつないでおけるからだ。
 さてこのクリーニング屋の道路をはさんだ向かい側には、エクステリアを専門にしている会社があって、そこのショールームに犬の人形が2体置いてあった。両方とも舌を出して、まるで笑っているような顔のかわいらしいお人形だ。真子はママを待つ間、何となくその人形が目にとまり眺めていた。
 するとちょうどそこへ、2.3歳くらいの男の子を連れたお母さんが通りかかった。そのとき男の子がふとその人形に気がつき、突然お母さんの手を引っ張った。
「わんわん!」
男の子は大声でそう言うと、ショールームに貼りつき動かなくなった。お母さんが何度男の子の手をひいても頑として動こうとしない。やむなくお母さんはその場にしゃがみこみ、むずがる男の子に説得を始めた。
と、ちょうどそこへ、用事をすませたママがお店から出てきた。
「真子ちゃん、何を見てるの?」
ママは真子が尻尾もふらずに道路の向こうを見つめているのを不思議に思い、そう訊ねた。
すると真子は、「あの男の子がね。あそこにある人形が気に入ったみたいで、お母さんが手を引いても動こうとしないの・・・」と答えた。それを聞いたママはしばらく考え込んでいたが、すぐに何かを思いついたようにポンと膝を叩いた。
「じゃあ、犬のお人形に魔法をかけて、男の子にさよならのご挨拶をさせましょうー」
ママはそう言うと、指をくるくるっと回して呪文を唱えた。
するとたちまち、「じゃあね・・・わんわん。バイバイ!」と言う男の子の声が聞こえてきた。真子は驚いてママを見上げた。
「ママ、ワンコのお人形にお話しさせたの?」
真子はそんなことをしたら、男の子のお母さんが驚いたのではないかと心配になって訊ねたのだ。
しかしママは何気ない顔で「大丈夫よ。男の子にしか聞こえない声でご挨拶させたからー」と、真子を見てにっこりとした。そして、真子のリードをポールからはずすとこう言った。
「さあ、わたしたちも早くうちに帰りましょう。もうじき暗くなるわ!」
 

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