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ユノーの友人 9

 07, 2013 23:23
 妙な気分だった。
 魚がえら呼吸するように、のどを通る大量の水もまるで気にならない。じっと水中を見回すうち、レグルスは自分が別な生き物に生まれ変わったような気がした。陸とはまるで違う水中の眺め。彼をとりまくどこまでも広く青い世界。さらにその青い背景に美しく色を添えているのが、群をなして揺れる水藻の緑であった。それらが、天から降りそそぐ太陽の光を受け照り映える様にレグルスはうっとりとみとれた。
 しばらくして大鮒は洞窟の奥へと流れ込む急流に乗り、矢のような速さで泳ぎ始めた。3匹は慌てて鮒の背にしがみつく。こんなところで油断をして、うっかり流されては堪らない。
「レグルス、大丈夫かい?」
 心配したユノーがレグルスに呼びかけた。
「うん、大丈夫だよ!」
 レグルスがスミスの尻尾をくわえたまま、くぐもった声で答える。
「洞窟を抜けるにはしばらく時間がかかる。その間はずっと流れも早いから、わしが声をかけるまでは決して気を抜かないようにな!」
 ユノーはそう言い終わると、たちまちスミスの頭の毛の中へともぐりこみ姿を消した。
 洞窟の中は、至る所にごつごつとした岩が突き出て穴を狭めていた。岩のすぐ横をかすめるように通り抜けるたび、レグルスは何度も悲鳴をあげそうになった。だが恐ろしい程の速さで泳いでいるにもかかわらず、大鮒は絶妙のタイミングでそれらの岩をかわして進んでいく。どうやって岩をよけているのか、レグルスには皆目見当もつかなかったが、大鮒を案内役につけたユノーの賢さには改めて感服した。
「皆さん、この先はとても通路が狭くなっています!振り落とされないように、しっかりわたしにつかまっていて下さいよ」
 大鮒がそう言った直後だった。
 突然、目の前の通路がこれまでとは比べ物にならないくらい狭くなり、レグルスは恐ろしさのあまり目を閉じた。
 と、次の瞬間である。レグルスは自分の体が水中から飛び出し、ふわっと宙に浮くのを感じて目を開けた。
「ウワーッ!」
 眼下の景色に驚嘆し、レグルスがたまらず悲鳴を上げた。
 なんと彼らは大鮒の背に跨ったまま、真っ逆さまに巨大な滝壺へと落下していこうとしていたのである。
 ほんの数瞬が数分にも感じられるほど、時間がスローモーションで流れ去った後、彼らは叩きつけられるような衝撃を体に感じて水中へと放り出された。
 大鮒から振り落とされたレグルスを追って、スミスが目を見張るほどの速さで泳ぎ寄り彼を抱きかかえる。案の定レグルスは意識を失っていた。スミスはレグルスを自分の背中に乗せると、水面に浮上してゆっくりと川岸の方へと泳いで行った。その様子を離れた所から大鮒がじっと見つめている。やがてスミスの頭上に立ったユノーが大鮒を振り返り彼に合図を送ると、大鮒は勢いよく水面高く跳ね上がってそれに応えた。そしてふたたび水中深く沈んだかと思うと、そのままどこかへと消え去っていったーー。

「スミス、レグルスは気を失っているようだ。このまま目を覚ますまでそっとしておいてやろう。森の奥で待っているもののけたちを振り切るのは、わしらだけの方が都合がいいだろうからね・・・」
 スミスの肩を滑り降り、レグルスの顔に近寄って眺めながら、ユノーは静かな声でそう言った。
 スミスは小さく肯いて、レグルスを川岸の木陰へと運びそっと下ろした。
「ユノー。彼を本当に森の守り主に会わせるつもりなのかい?」
 レグルスの頬に鼻をつけ、しきりに様子をうかがっているユノーを見下ろしながら、スミスは唐突にそう訊ねた。


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COMMENT - 2

Fri
2013.11.08
20:27

マウントエレファント #TO/PCoV.

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次が楽しみ

描写が素晴らしいですね。
次の展開が気になります!

Edit | Reply | 
Sat
2013.11.09
22:30

エンジェルズアイ #-

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Re: 次が楽しみ

こんばんは~^^
コメントありがとうございます🎵
描写にはあまり自信がないので、褒めていただけるととても嬉しいです(^-^;
これからが物語の山場なので、気合を入れて頑張ります!
年内にはなんとか完結させたいなぁ・・・。他の作品との兼ね合いもありますが、できるだけ作品の完結を急ぎたいと思っています。

Edit | Reply | 

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