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レッド・キングダム 第1章 第2話

 17, 2016 23:47
「話が少し遡るのですが・・・・・・」

レギオンは穏やかな口調でそう前置きをすると、やや前かがみに声を落として続けた。

「実は十年程前、一人の星読みが私のもとへ訪ねて来たことがありました。彼は少年を伴に連れておりましたが、その少年を聖職者にしたいので、どうか力になって欲しいというのです」

エザックが眉をひそめる。

「身分違いな申し出ですね・・・・・・。聖職者になれるのは、出自のはっきりとした名家の者と決まっている」

厳しい身分制度こそが世の礎とされるこの国で、聖職者はその最高位に属する。
一方、星読みは身分としては最下級層に属しており、聖職者に就くことなど到底許されることではなかった。

「はい。私もそれは無理な相談だと断りました。けれども、星読みはなかなか諦めません。そこで訳を聞くと、少年は捨て子であったそうで、星読みが拾って育てたのだ申します。それゆえ、自分のせいで少年が不遇な人生を送るのは忍びなく、身の立つよう力添えをして欲しいのだと言うのです。さらに少年を拾った時、赤子が来ていた産着は立派なものであったらしく、くるまっていた絹のマントには金の腕輪も添えてあったというのです。それで、いずれか由緒ある家の出ではないかと申します」

「ほお・・・・・・」

「そこで添えてあったという腕輪を見てみますと、なんとアシラン語が刻まれておりました。そこに書かれていた文字はモレ。かつて栄華を誇ったナイノア帝国の王妃ゆかりの名家にございます」

 息を詰めて話を聞いていたエザックから、短いため息がもれた。
アシラン語で文字を記すことが許されていたのは、ナイノア帝国の貴族階級の者のみであったことは広くしられている。
少年がその腕輪とともに捨てられたのであれば、モレ家と深い関りがある者と考えるのは自然であろう。
そしてモレ家は、ナイノア帝国で王族にも匹敵する名家なのである。

「少年を近くに呼び寄せますと、たしかに品位を感じさせる利発な顔立ちをしております。不憫になった私は、彼らを蒼の神殿へ行かせようと思い立ちました」

「そういえば、蒼の神殿にはナイノア帝国ゆかりの神官がいるそうですね」

レギオンが肯いた。

「私は神官あてに手紙をしたため、星読みに渡しました。その後、彼らのことは忘れていたのですが、五年前、ふとしたきっかけでモレ家というのが、キング・ユーカスの出とされる家であることが分かったのです」

場に緊迫した空気が漂う。

「そして、ちょうどその頃あなたに神託が下り、ユーカスは名を偽り王となった者であることが分かりました。私は急いで蒼の神殿に使者を送りました。けれども、なぜかあの星読みと少年は神殿には行っていなかったのです」

老賢者はそう言って、かぶりを振った。
 
「私はなんとか、星読みと少年の足取りをつかもうと八方手を尽くしました。そしてようやく最近になって、居所をつかんだのです。ただ彼らは一年の大半を旅先で過ごすため、故郷に帰って来るのは年に二、三度。その時を逃せば会うことはできません」

はやる気持ちを抑えきれず、エザックが言った。

「彼らが帰って来る日をつかんだのですね」

レギオンの目が輝いた。

「はい。それが一週間後に迫っております」

うなずきながら、エザックは立ち上がった。その後姿を、レギオンが目で追う。

「レギオン様がわざわざ訪ねて来られた理由が分かりました。私にその少年を会わせたいとお考えなのですね」

そう言って、若き賢者は天幕の隅に置かれた荷物の中から地図を取り出し、それを老いたる先達の前に広げた。

「少年がモレ家の者であれば、キング・ユーカスが名を奪った者の縁者ということになります。次の王になる資格は十分にあるはず。ここは誰をおいてもまず、エザック殿に会っていただくことが肝要と思いました」

そう言いながら地図に目を通したレギオンの指先が、地図のある一点でとどまる。
そこはここより先、二日の道のりはあろうかと思われる地であった。

「もちろんです。この国の未来にかかわること。明日にでも出発することに致しましょう」

二人の賢者は顔を見合わせ、固い握手をかわした。

しかし、彼らは気づいていなかった。
国の内外において、キング・ユーカスが名を偽って王になったという秘密を知る者はごく一握りの聖職者のみ。
国の根幹を揺るがすこの事実は、決して口外してはならぬとされ、それが守られてきたにもかかわらず・・・・・
たった今彼らの会話を盗み聞いた一人の間者によって、広められることになってしまったことに。

アニタは、天幕の外で一人震えていた。
彼女は聞いてはならぬことを聞いてしまったわが身の不運を、嘆かずはいられなかった。

(でも・・・・・・、あの方にお知らせしなければならない)
それが、彼女の使命であったから。

アニタは迷いをふり切るように己の胸を激しく叩き、そして天幕に背を向けると、一人暗闇の中に走り去ったのであった。



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COMMENT - 2

Mon
2016.01.18
22:29

nanaco☆ #-

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アニター!!

うぉぉーアニター何てことを!笑
ますます彼女の出自と、何者なのかが気になってきました^^;
エザック達にとって吉と出るか凶と出るか?
続きが気になります。。

その捨てられた少年もどんな子なのかな?
こちらもそのうち登場するんでしょうか、楽しみにしてます*^^*

Edit | Reply | 
Tue
2016.01.19
21:48

エンジェルズアイ #-

URL

Re: アニター!!


運命が動き出しました・・・。もう誰にも止められません(-_-)
後は野となれ山となれ~全ては神の御心のままに~
そして、作者の思いのままに~(^^♪

捨て子だった少年は、第1章の後半に登場する予定です。
次回からはキング・ユーカスに焦点を当てての物語展開。
アニタの主も登場して来ますので、お楽しみに(^^)v

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