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童話 メリルさんの悩み 10

 16, 2012 23:03
チャールズは無言で友人から視線をそらすと、思案気に床を見つめた。
「ーーともかく、一度その庭師に会って話をしてみることにしよう!」
 屋敷の主はふたたび彼にそう話しかけたが、チャールズはを小さくうなずいたきり言葉を返すことはなかったーー。


ーーイジーは、デービッドの肩にとまってクリス老人の家から出てきた時、懸命に自分の名前を呼ぶ声を耳にして、空を見上げた。
 見ると通りをはさんだ建物の屋根の上に、あのつがいのカラスがとまっているではないか!彼らはイジーの安否を気遣い、ずっとクリス老人の家の様子をうかがっていたのだった。オスのカラスがイジーに、「大丈夫か?」と大声で尋ねた。イジーは大きく何度もうなずき、これから訪ね人の居場所を探しに少年の屋敷へと向かうのだとこたえた。これを聞くと、つがいのカラスは安心したように互いのくちばしをすり寄せて喜んだ。。彼らは少年に見覚えがあったため、イジーが向かおうとしているマーシャル家の場所もおおよその見当はついていた。それで、イジーに向かってこう叫んだ。
「ぼくらはまず親戚のカラスを呼びに行って、それからその少年の屋敷に行くことにするよ!」
 イジーは、カア!と一声大きく鳴いて彼らに返事をした。
 傍らでこの様子を黙って眺めていたクリス老人は、つがいのカラスが飛び去るのを見送ると、静かな声でイジーに話しかけた。
「仲間が君のことを心配して、ずっと家の外で待っていたのだね?無事な姿を見てさぞ喜んだことだろう」
 これを聞くと、イジーも嬉しそうに羽をばたつかせて言った。
「おじいさん。本当に僕らの言葉が分かるんだね!」
 無邪気なイジーの言葉に、一瞬クリス老人は嬉しそうな表情を見せた。だが、老人はすぐに顔を強張らせ黙りこくった。
 老人は感じたのである。通り沿いの家の窓からのぞく住人たちの冷たい視線にーー。デービッドはクリス老人がふいに黙りこくったのに気づき、さらにその理由にも勘づいて、悔しさから顔を紅潮させた。だが、デービッドにも分かってはいたのである。かたくなな人の心というものは、奇跡を受け入れ難いものだということを。
 うなだれつつも道を急ぐデービッドの目に、ようやく彼の屋敷へと通じる並木道が見えてきた。
 マーシャル伯爵邸は、町の中心からは少し離れた広大な敷地に建てられていた。もともとは古い城が建っていただけであったのだが、現在のジョージ・マーシャルの代になって城が大幅に改修され、以前よりひとまわり大きく立派な屋敷へと建てかえられていた。マーシャル伯爵は領主としてだけでなく、実業家としても実に優れた手腕の持ち主だったのである。
 屋敷が近づくと、デービッドはイジーをクリス老人に託し、一人門の方へと駆け出した。彼が大きな門のすぐ前まで行くと、門の奥から一人の門番が現れてデービッドに会釈し、ゆっくりと門を開いた。
「さあ、早く!」
 デービッドは、大声でクリス老人とイジーを呼んだ。
 クリスはイジーを肩に乗せ、急ぎ足で門へと急いだ。そして彼らが門をくぐると同時に、門はふたたび堅く閉ざされたのであったーー。
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