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自作のファンタジー小説と日々の日記のブログ

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月夜物語 4

 15, 2017 00:08
森の奥へと分け入っていく少年の胸に、父の言葉が去来した。

「夜の森には魔物がいる」

そう少年に語った時の父の顔が思い出される。

その目は恐怖におののき、唇は固くひき結ばれていた。

狩人である父は、森で多くの屍を目にしてきた。

ある者は獣の餌食となり、ある者は闇に食われて死者の国へ入れず、あてどなく地上をさまよう哀れな霊と化す。

いずれの場合も、その屍は実に無残なものだ。

それゆえ縁者に知らせる前に、狩人たちは屍を土に埋め死者を弔うのだという。

「親しい者の目にふれさせることは、死者にとっても縁者にとっても、あまりにむごい仕打ちといえる」

少年は、耳にこびりついた父の声を懸命にふりはらおうとした。

彼方から聞こえて来る妖精の歌声。

心を魅了するその声にじっと耳をすまし、襲い来る恐怖と闘った。

ときおり森の木立の向こうに、何者かがこちらを見ているような気配を感じる。

森の獣か、はたまた森の住人たちか。

人の子が夜の森に入ることを、森の住人たちが好まぬことは少年も知っていた。

その制裁の最たるものが、闇に食われることである。

しかし少年は幼い頃、亡くなった祖母からこうも聞かされていた。

森には森の守護者がおられる。

心にやましいことがなく、善良で森を敬う心があれば、闇に襲われることは決してないのだと。

少年はこの言葉を反芻しながら、林の陰でうごめく影や、獣の泣き声にも動ずることなく歩みを進めた。

やがて湖のすぐ近くまで辿り着いたところで、ふいに歌声がやんだ。

少年は歌い手の姿を見失うまいと、声のしていた方へと慌てて駈け出した。

そのとき、少年の目に一人の美しい妖精の姿が映った。






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