ファンタジーガーデン

自作のファンタジー小説と日々の日記のブログ

Take a look at this

スポンサーサイト

 --, -- --:--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  •   --, -- --:--

月夜物語 5

 16, 2017 00:08
だが次の瞬間。

少年はいきなり何者かに背後から羽交い締めにされ、地面へとひきずり倒された。

抵抗する暇もなく頭から皮袋をかぶされ、視界が完全に遮られる。

「声をたてるな。命が惜しくば口を開かぬことだ」

少年をとらえたのは、精霊であった。

レビアント卿の屋敷へと向かっていた精霊は、途中で湖の方へと急ぐ少年の姿を見かけ、もしやと思い後をつけてきたのであった。

湖からは妖精の歌声が聞こえていた。もしもその歌声にひかれ湖に向かっているのなら、妖精の姿を目にするに違いない。

そんなことになれば、妖精の力はそがれることになり、傷心の彼女が死の病に伏さぬともかぎらない。

精霊に脅された少年は、声を押し殺しながら、神妙な声で言った。

「どうぞ助けてください。わたしは美しい歌声にひかれ、一目その姿を見たいと森に入っただけなのです」

「人の子よ。そなたは見てはならぬものを見ようとしたのだ。みだりに森の住人に近づいてはならぬという掟を忘れたか」

少年は皮袋をかぶったまま、首を振った。

「掟を破るつもりなど毛頭ありません。ただほんの少しだけ、遠目にでもあの美しい声の主を眺めることができれば、それで満足だったのです」

精霊は、しばし考えた。

この少年は自分の行いを悔やんでいるし、言葉に偽りはないようだ。

もしレビアント卿の屋敷に出入りしている者ならば、案外役に立つかもしれぬ。

精霊はそう思い直すと、少年の頭にかぶせていた皮袋をはずしてやった。

「人の子よ。これから私の言う事を守り、森の守護者の命に従うならば、そなたの罪を許すとしよう」

これを聞いた少年は喜んで答えた。

「もちろんです。私でお役に立てることならば、なんなりとお命じください」


スポンサーサイト

COMMENT - 0

WHAT'S NEW?

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。