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月夜物語 9

 20, 2017 00:08
若い騎士は席をたち、使用人に案内されるまま、老騎士たちの方へと進んでいった。

赤ら顔の騎士の方は、いぶかしむように老騎士と少年を眺めたまま、事のなりゆきを見守る構えである。

「わたしたちに用とのことですが、誰かと人違いをしてはおられませんか。わたしは、貴殿とお会いするのは今日が初めてです」

若い騎士はそう言って赤ら顔の騎士の方を振り向き、問いかけるような視線を送った。

それを受けて、ようやく赤ら顔の騎士も片手をあげて席を立ち、憮然とした表情で言った。

「失礼だが、ここ数年の武術大会ではお見かけしておりませんな。わたしも貴殿とは、これが初対面と存じる」

二人が警戒するような眼差しを向けるのを見て、老騎士の傍らの少年の表情が強張った。

少年は若い騎士を盗み見しては、何事かを告げようとでもするかのようにかすかに唇を動かした。

それに気づいた若い騎士が少年を凝視すると、今度は怯えたように足を震わせ、老騎士の背後にすっと身を隠してしまった。

そんな少年の姿に、老騎士は険しい表情で何事かを彼の耳元でささやいた。

すると途端に少年の顔つきが変わり、動揺した様子がかき消えた。

このやりとりに赤ら顔の騎士が興味をひかれたようで、にわかに表情を和らげ、老騎士へと語りかけた。

「わたしたちは御存知のとおり、武術大会に参加するためにこちらのお屋敷に逗留させていただいている者です。ですから、武術大会が終わればこちらを去る身。それまでの数日間で、何かお役に立てることがあるということでしたら、お話をうかがうのもやぶさかではありませんが」

これを聞いて、老騎士はしわがれた声でこう言った。

「お二方に、さるお方の動静について知っていることがあれば、是非教えていただきたいと思っているのです」

若い騎士と赤ら顔の騎士は、老騎士の差し出した皮袋から金貨がこすれあう音がするのを聞いて目を輝かせた。

「さるお方とはどなたですか? 」
 
黄金に目がくらんだ騎士たちは、声を合わせて尋ねた。

「レビアント卿の弟君を見舞うため、こちらの屋敷に逗留しておられる騎士がおられるはず。その方について知っておられることを話していただきたい。そして、できればその方にお会いできるよう取りつぎをお願いしたいのです」

老騎士の言葉に、赤ら顔の騎士がこたえて言った。

「たしかに、レビアント卿の弟君のもとに、古いご友人が来ておられるのはわたしも知っている。しかし、最近はあまり姿を見ぬようだ。風の噂では女にふられ、ひどく気落ちしていたという話だが」

この返事に、老騎士の目がきらりと光った。


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