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自作のファンタジー小説と日々の日記のブログ

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月夜物語 12

 23, 2017 23:11
赤ら顔の騎士は人に聞かれるのをはばかるように柱の陰に行き、精霊と小声で相談を始めた。

しばらくすると精霊は少年のもとに戻って来たが、いささか剣呑な表情を浮かべており、問うように見上げる少年の耳元でこう囁いた。

「若い方の騎士が、人探しの理由にこだわっているらしい。彼に承諾させるには、一芝居うつ必要がありそうだ。そなたを妖精の弟ということにしよう。自分の姉が恋人である騎士に会いたがっているのだと彼を説得し、赤ら顔の騎士の手助けをしてくれるよう頼みこむのだ」

 しかし言われた瞬間、少年は顔をしかめた。

精霊が彼に命じたことを、受け入れ難かったからだ。

少年は思った。

精霊が妖精の恋い慕う騎士を探すために、自分をここまで連れて来たことは承知している。

それで自分は屋敷に着いたとき、以前、父とこの屋敷に来たとき知り合いになった門番に頼みこみ、怪しまれることなく精霊が屋敷内に入れるようにつとめたのだ。

それだけで、自分はもう十分、精霊との約束を果たしたことにはならないだろうか。

妖精に思いをめぐらし、あの美しい歌声を思い出すと、少年の胸は無性にせつなくなった。

妖精と、彼女が恋い慕う騎士を再会させるための手助けをすることなど、彼には到底できそうになかった。

少年はいつしか、妖精に恋心を抱きはじめていたのである。

それが、少年にとっての不運の始まりとなることを、無論、彼は知るよしもない。

「妖精がわたしの姉と偽っても、勘の鋭いあの若い騎士にはすぐに見抜かれてしまうでしょう。それよりは、彼女の誇りを激しく傷つけた相手として決闘を申し込みたい、と言った方が納得するような気がします」

少年がそう言うのを聞いて、精霊は驚き目を見張った。

「決闘を申し込むためだと! 剣を持ったことすらないそなたが、決闘などできはすまいに」

しかし少年は、さらりとした顔でこう言ってのけた。

「実際に決闘するわけではありません。妖精の会いたがっている騎士を探し出すための口実です」




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