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月夜物語 13

 24, 2017 22:41
決闘を申し込まれて、受けぬは騎士の恥。

探す理由が決闘であるならば、若い騎士も助力を惜しまぬだろうというのが少年の言い分だった。

「ご安心ください。剣術はたしなみませんが、決闘の作法ぐらいは知っています。探し当てた後の決闘の場所は、あの湖ということに致しましょう。そうすれば、あの騎士をすんなりと森におびきだすことができます」

少年に言われ、精霊はいささか不本意ではあったものの、最終的には彼の考えに同意した。

無論、決闘が作り話であったからであるが、精霊はなぜか不吉な予兆を感じていた。

剣を少年に持たせて本当に大丈夫だろうか。

そんな不安が精霊の胸によぎったのである。

若い騎士は、少年からレビアント卿の弟君を見舞いに来た騎士を探す理由が決闘を申し込むためと聞いて、たちまち顔色を変えた。

事情を聞いた彼は、それまでの気乗りしなさそうだった態度をあらため、真剣な眼差しで言った。

「その騎士が森で出会った娘と恋仲になったという噂は、わたしも耳にしています。しかし、その娘さんが恥辱を受けたと訴えておられるというのであれば、決闘を申し込まれても致し方ないでしょうね。わたしも、その騎士を探すお手伝いを致しましょう」

少年は、女性にひどい仕打ちをしたと聞いて憤慨する若い騎士を見て、内心つぶやいた。

騎士は女性に対して紳士的に振る舞うものだそうだが、決闘という手段に訴えることを止める気はさらさらないようだ。

命をかけて女性を守るというのは、男の勲章というわけか。

少年は湖のほとりで垣間見た妖精の姿を思い出し、自分が彼女の恋人であったなら、本当にあの騎士を亡き者にしたいと望むだろうなと思った。

しかし決闘はたんなるお芝居で、実際は妖精の想い人を湖によびだすための口実にすぎない。

そのことが、少年を失望させた。

もしもあの騎士がこの世の者でなくなったら、妖精はさぞ悲しみにくれることだろう。

けれど時とともにいずれ傷は癒え、彼女はまた新たな恋に心ときめかせるかもしれない。

そう考えると、心が軽くなる気がした。

この時ふと傍らの少年に目を向けた精霊は、彼がはっとするほど明るい表情を浮かべているのを見て首を傾げた。

人の心に住む魔性を知らぬ精霊は、漠然と広がっていく胸騒ぎに一人困惑するのだった。







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