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KURAMA (番外)1

 22, 2012 17:43
 はじめまして、比叡です!
 出身は京都の比叡山。現在、檀上家に下宿し都内の某大学に通う学生であります!
ーーとは、世をしのぶ仮の姿でありまして、実は、わたくし天狗であります。
 それも比叡山の天狗。比叡山の天狗がなぜ東京に?と首を傾げた皆様方!!ごもっともであります。
 わたくしも、まさかこのような事になろうとは思ってもおりませんでしたゆえ。
 京都には天狗衆の総本山ともいうべき鞍馬山というところがありまして、ここに鞍馬の天狗と呼ばれる偉~い大天狗様がおられます。ところが、この大天狗様がある日稲荷の野郎に(稲荷とは稲荷紳の眷属で性格の悪~い白狐なのですが)ふいをつかれ、大怪我を負わされてしまったのであります。
 このとき、たまたま通りかかった檀上翼という少年が白狐を追い払い、鳶の姿をしておられた鞍馬の大天狗様を助けたのであります。 天狗というものは、人に助けられれば、必ず恩を返すものであります。そこで鞍馬様は檀上に望むことを何でも一つかなえようとおっしゃったのですが、少年はまだ自分は若く、頼み事を思いつかないと申しました。
 そこで義理がたい鞍馬様は、ならば頼み事が決まるまで彼の傍にいようとお決めになったのであります!
 でーー、なぜわたくしまで、東京に来る羽目になったのかと?
 それはですね。つまり、わたくしは鞍馬様の使い走りとでも申しますか、京都と東京を行き来する伝令の役目を鞍馬様に言いつかったのであります。なにしろ鞍馬様は偉い大天狗様ですので、京都でのお務めもたくさんおありです。特に護法魔王尊様のお召しがあった場合には、急ぎ駆けつけねばなりません。
 そんなことで、今日も鞍馬様は京都にお出かけになっております。
 そんなことで、わたくしただいま羽をのばしている次第であります。
ーーとのんきなことを申しておりましたら、翼殿の母君ー檀上容子様がおいでになりました。
「あら、比叡君。今日は講義がお休みなの?」
 話し好きな容子様は、食堂脇の談話室で茶を啜りだべっているわたくしを見つけ、話しかけてこられました。
「はぁ。大家さんはお買い物の帰りですか?」
 容子様は両手に提げていた買い物袋をよっこらしょ!と談話室のテーブルの上に置くと、わたくしの隣の椅子をひいて腰かけられました。
「ねえ、比叡君。ちょっとお使いを頼めないかしら?」
 わたくしが茶を飲み干すのを見計らって、容子様がそうおっしゃいました。
「比叡君は木下さんのお宅は知ってるかしら?そのご近所に持って行ってもらいたいものがあるんだけどーー」
 わたくしが返事をためらっていると、容子様はいたずらっぽい顔でわたくしの顔をのぞきこみ、買い物袋の中からケーキを取り出されました。
「比叡君、甘いもの好きだったよね?」
 おお!わたくしの大好きなイチゴのショートケーキにティラミス!!この報酬は魅力的であります。
「木下のご隠居さんのお宅ですよね。知ってます!」
「木下さんの家の二つ先に白タイル貼りのマンションがあるんだけど、そこの3階のお宅なの」
 容子様はそう言って、今度はケーキが入っていたのとは別な買い物袋の中から、包装紙に包まれたクッキー缶程度の大きさの包みを取り出されました。
「これをね、届けて欲しいの」
 もちろん、わたくしは二つ返事で承知し、大好きなケーキを頂いたのであります。

     *********


 容子様がおっしゃったマンションはすぐに見つかり、わたくしは階段を上り(このマンションは4階建てでエレベーターはございませんでした)届け先のお宅のチャイムを鳴らしました。
「はーい!」
インターホンから若い女性の声が聞こえました。
「檀上さんからのお届けものです!」
 なんだか、宅急便屋のお兄さんにでもなった気分ですが、こんな普通の格好をしていて怪しまれないかと心配しているところへドアが開きました。
「下宿していらっしゃる方ですよね?さきほど、檀上さんからお電話がありました」
 にこやかな表情で、そう優しく声をかけてこられた方のなんとお美しいこと!なんとわたくし好みな!!と鼻をを伸ばし、いたく感激しておりますと、今度は奥から小さな女の子の声で、
「お母さん。だ~れ?」
 ああああああ。やはり、そうきますか。やはり……。
 容子様のご友人なら、やはりお子様がいらして当然。しかし、この比叡、美しい女性には目がございません。なかなかショックから立ち直れずにおりますと、かの美しい方がおっしゃいました。




 

「最近、この近くの公園に不審者が出るんですよ。用事で遅くなった日なんて気味が悪くてーー、本当に困ってるんです」
 これを聞いたわたくし、困っている美しいお方を助けぬ訳にはまいりません。早速、その不審者とやらを成敗してくれる!と思い立った次第であります。
 用事をすませたわたくしは、すぐにかの公園へとまいりました。そして公園の隅に樫の木が立っているのを見つけ、それによじ登りました。このあたりは日中人の行き来はほとんどありません。今ここで姿を変えても人目にはつくまいと判断したわたくしは、またたくまに一羽のカラスへと姿を変えたのであります。そうして木の枝にとまり、ずっと怪しい人物が現れぬかと見張っておりました。
 そうして待つこと数時間。一人の若い男が公園にやってまいりました。やたらと周囲を見回し、どうみても挙動不審な人物であります。するとそこへ、間の悪いことに一人の若い女性が(おそらくお勤め帰りのOLさんであろうと思われます)通りかかりました。男は素早く植え込みの陰に身を隠し様子をうかがっていました。しばらくして女性が自分に気付いていないと分かると、男はそろりそろりと彼女に近づいて行きました。わたくしは今だ!とばかりに男めがけて滑空すると、鋭いくちばしで男の頭を何度も激しくつつきました。
「うわ~っ!」
 わたくしの攻撃にたまらず男が叫ぶと、女性はすぐ後ろに迫っていた男に気付き、大声を上げました。
「誰か~!誰か、助けて!!」
 その声に、近くを巡回していたパトカーが駆けつけてきました。
 不審者はあえなく逮捕。
 めでたし、めでたし!!

 が、しかし……、ご帰宅された鞍馬様は私の絆創膏だらけの顔を見て呆れ顔でおっしゃいました。

「ーーで、なんで人の姿で捕まえようとしなかったんだ?」
 
 誠におっしゃるとおりであります。
 天狗は人の何倍もの腕力があるのですから、なよなよした不審者など比叡の手にかかれば、赤子の手をひねるより容易いこと!のはずであったのでありますが……。

「不審者にナイフで傷つけられたんだって?」

「……」

「どうせ、人の姿に戻るのを忘れたんだろう?」

 鞍馬様はそう言い捨てて、翼殿のお部屋に戻ってゆかれましたーー。

 はあああ……。


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