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KURAMA (番外)3

 29, 2012 01:56
 比叡であります。
 本日は鞍馬様のご命令で、箱根まで来ております。
 どのような命令か?それはですねーー、ずばり隕石の探索であります!
 昨夜突如流星があらわれ、箱根方面に落下したという知らせが鞍馬様のもとにとどき、急きょこの比叡が隕石捜索の命をうけたのであります。意外に思われるかも知れませんが、実はわれら天狗にとって、未確認飛行物体および隕石の探索は大事なお勤めの一つなのであります。
 なぜか?それはわれらと同じ組成の生命体がこの地球に現れはしないかと常に監視するためなのであります。
 ご存知の方もおられるかとは思いますが、もともと天狗は護法魔王尊様によって造られた生命体であります。その護法魔王尊様は、100万年前に地球にやってこられた異星人であられます。それゆえわれわれの遺伝子も、地上の生命体とは異なる組成をしております。古くからの伝承にもあるように、われわれに神通力なる特殊能力が備わっているのもそのためであります。
 早い話、われらは異星人というわけですな。もっとも生まれはこの地球でありますから、地球を故郷とする異星人ということになりますか。
 ところで、地球にやってくる異星人のなかには非常に友好的な者とそうではない者とがおります。特にわれらと同じ遺伝子をもつ星人は、実は友好的な存在ではないのです。そのため彼らが地上の生物に危害を加えぬよう、われらが見張っているわけであります。
 そんなわけで箱根にやってきたのですが、知らせのあった地域の聞き込みを半日がかりで行ったにもかかわらず目撃情報はゼロ。隕石を見た人はもちろん、噂を聞いたという人も皆無というありさま。隕石の落下の場合は大抵何かしらの情報が得られるものなのですが、今回に関しては全く情報なしということですっかり頭を抱えておりました。



「あのーすみません。この土地の方ですか?」
 
 鞍馬様になんと言い訳したものかーー?
 と、考えをめぐらしつつ芦ノ湖の湖面を恨めしげに眺めていたわたくしは、ふいにそう声をかけられ後ろを振り向きました。見るとそこには観光客らしい若い女性の二人連れが立っておりました。道にでも迷ったのか、二人とも困惑の表情を浮かべております。
「いや、違いますが。ーー何かお困りですか?」
 
 わたくしはつとめてさりげなく、彼女たちにまるで関心を抱いていないような無表情を装い(内心は無論関心を抱いておりましたが)つつ、たずねました。
「湖畔の散歩をしていたら、帰り道が分からなくなってしまって困ってるんです。わたしたち、山の上ホテルまで行きたいんですけどーー」
 わたくしは、快く彼女たちの道案内を引き受けました。旅先での親切は身にしみるもの。これが恋のきっかけになるやも知れませぬ。わたくしの個人的な好みはセミロングのちょっぴりふっくらタイプの女性の方でしたが、やや長身細身のショートヘアーの彼女も十分ストライクゾーン。セミロングの彼女が10点で、ショートの彼女は8点といったところでしたから、同行するのは鼻歌気分でございました。
 ところがしばらく歩くうち、わたくしは妙な気分に襲われました。何か大切なことを見落としているような、そんな気分になってきたのです。後ろを歩く二人は黙ってわたくしについて来ておりました。これといっておかしな素振りはありません。なのですがーー
 何かがおかしい?
 そう思っていると、セミロングの女性が不安そうな顔で話しかけてきました。
「ホテルまで、あとどのくらいかかるでしょうか?」
「ーーそうですね。あと20分くらいかな?」
 わたくしがそう答えると、ショートの彼女の方が申し訳なさそうにいいました。
「少し、休憩してもよろしいでしょうか?」

 わたくしたちはすぐに、日差しをよけるに格好の大木の木陰を見つけました。そこへ3人並んで腰をおろしていると、おりから吹くそよ風が心地よく頬をなででゆきます。ふと、わたくしは上空で鳥のさえずる声に気付き空を見上げました。澄み切った青空に、一羽の鳶がゆったりと大きな輪を描きながら飛んでいます。
 その瞬間、わたくしはそれまで自分の感じていた違和感の理由に思い当たり、慌ててその場から跳びのきました。天狗のわたくしが跳びのけば、ゆうに10mは離れます。彼女たちはすぐにわたくしが人ではないことに気付き、獣のような声を上げわたくしにとびかかろうとしました。
しまった!と思った刹那、一陣の突風が吹き荒れわたくしは空へと舞いあがりました。
「比叡、これを!」
 気付くと上空には高尾殿がおられました。彼女は両手に羽うちわを持っておられましたが、その一つを風に吹きあげられた私に握らせ叫ばれました。
「鞍馬様からお預かりしてきました!これがあれば鳥の姿にならずとも飛ぶことができます。さあ、あの二人をとらえるのです!」
 高尾殿はそういうが早いか空中から二人に襲いかかり、見事セミロングの女の方を縛り上げ空中に舞い上がりました。
「さあ、早く比叡!」
 わたくしは高尾殿に先をこされましたが、そこは男子たるものの面子もございます。地上に急降下するやたちまちショートの女の方に縄をかけ、空へと舞いあがったのでございますーー


**********


「ねえ、比叡。さっき急に二人から跳びのいてたでしょう。どうやって正体を見破ったの?」
 東京へと向かう帰りの車内で、思い出したように高尾殿がそうわたくしに問いかけられました。
「はあ。ただ何となく変だなあと思いましてーー」
 わたくしが要領をえない返事を致しますと、高尾殿は呆れ顔で首を振り、もういいわ!と車窓の方にそっぽを向かれました。二人っきりのロマンスカー。本来なら最高のシチュエーション。ここで機嫌を損ねるような応対は決してしたくはない!ところなのですが……。
 どうしてもわたくしには、高尾殿に本当の理由を言うわけにはいかなかったのであります。
 何故かって?
 それは、その理由というのがーー
(あの二人の目が高尾殿にそっくりだった)ということだからなのです。
 
 鋭く光るあの鳶色の瞳がーー


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